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2022.09.16

連載「作家のアイデンティティ」Vol.4 / 作家 木原千春 編

Photo / Gyo Terauchi

独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」として活動する、とに〜さんが、作家のアイデンティティに15問の質問で迫るシリーズ。今回は、生きものたちの内側に存在する「生命力」を描く作家、木原千春さん。独学で絵画制作を開始したことや、生まれ育った山口県の豊かな自然の中で身近に存在した動植物や昆虫をデッサンし続け、ダイナミックに描く強さを持つ木原さんの背景に迫ります。

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連載「作家のアイデンティティ」Vol.3 / アーティスト 黒岩まゆ 編 はこちら!

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連載「作家のアイデンティティ」Vol.3 / アーティスト 黒岩まゆ 編

  • #アートテラー・とに〜

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木原千春さんに質問です。(とに〜)

絵画だということは十分頭で理解しているはずなのに、思わず「こいつ、動くぞ!」と感じてしまうほど、木原さんが描くモチーフは生命力に満ちています。パッションに溢れ、画面から今にも飛び出してきそうな迫力ある作風ゆえ、初めて作品を目にした時は、プロレスラーみたいな大男が描いているのだろうと勝手に決めつけていました。プロフィール写真を見るに、大男とは真逆も真逆の優しそうな女性の方でしたが、ご本人に一度もお会いしたことがないので、まだ信じ切れていません。ということで、ご本人のアイデンティティに迫るべく、制作に関してだけでなく、プライベートなことも深掘りする質問を投げかけてみました。

 

Q.01 作家を目指したきっかけは?
絵や、絵を描くのが好きなのもありますが、小学校の図工の教科書に載っていたダヴィンチの”モナリザ”とフランシスベーコンの”頭部VI”を見て、衝撃を受けたと同時に、背中を押されたからです。

 

Q.02 アトリエの一番のこだわりは?
なるべく広くて、光も良く、制作しやすければ、特別こだわりはありません。しいて言えば、制作途中や完成した作品達を眺められる置き方をしているところです。

 

Q.03 近年の作品は1枚の作品にあまり多くの色を使ってない印象を受けますが、何か理由はありますか?
より少ない色彩とシンプルな構図で表現するのを追求していたからです。
雪舟の破墨山水図、水墨画の影響もありますが、素材個々の力や、表現(人間)の可能性を引き出したいのもあります。

 

Q.04 猫をモチーフにするときに一番こだわっているポイントはどこですか?
艶かしいフォルムや、目や髭、そして決め手となる尻尾です。ストロークでそれらを生かすことにより、猫の野生味を引き出すことです。

以前、木原さんのとある猫の絵を観た際に、本能的に「狩られる!」と感じたことがありました。あの猫の野性味はハンパなかったです。(とに〜)

 

Q.05 制作のモチベーションを保つためにしていることはありますか?
常に真摯に向き合い続けることです。
そうすると自ずと保たざるを得ないバランスにさせられます。

 

Q.06 自慢の作業道具を教えてください。
特に無いですが、初期から使い続けているパレットナイフですかね…。
高価ではないですが、書道用の筆も大事な仲間です。

『ONE PIECE』好きとしては、「仲間」という表現にキュンとしました。(とに〜)

 

Q.07 作品のイメージとご自身にギャップはあると言われますか?
よく言われます。あと名前が千春なので、作品を見ると男性だと思われることが多いです。

すいません。僕もそうでした。(とに〜)

 

Q.08 職業病だなぁと思うことは?
描いてないときも、無意識に全てにアンテナを立てているとこです。

 

Q.09 作品に対する感想で、これまでで一番キュンとしたものを教えてください。
「木原さんの絵があると、日常が楽しくなりました。絵の力ってすごいですね!!」と言われたことです。

 

Q.10 独学で良かったと思うことはありますか?
発想の着火が、どこからでも何でもあり得るし、決めつけて物事を見ないとこ…ですかね。

 

Q.11 最近買ったものでお気に入りのものがあれば教えてください。
飼い猫のそうすけの段ボールハウスです。

そうすけ君も野性味あふれるのでしょうか。(とに〜)

 

Q.12 「こんな経験をしたことがあるのは、ひょっとしたら自分だけかも?」と思うことがあれば教えてください。
昔、空海の絵を沢山描き続けている最後の段階で死にかけたことです。素人が生半可にかじったから、自分の中で勝手にモンスターをつくってしまったんだと思います。あと、宇宙の限界が急に見えて、びっくりしすぎて一瞬で忘れたことです。


Q.13 自分の人生をスゴロクにするとしたら、絶対に外せないマスを教えてください。
要所要所で出会ったキーマンの人たちや、血縁じゃないのに我が子のように心配して叱咤激励してくれてる、親のような方たちです。それと画業の転機となったロイドワークスギャラリーの井浦さんです。

 

Q.14 青春時代、一番影響を受けたものは何ですか?
故郷、山口県の山や川や海の動植物や昆虫です。
そして、ダヴィンチです。

 

Q.15 もしも作家になってなかったら、今何になっていたと思いますか?
本当に想像もつかないですが…ニート…ですかね…。
それか、考古学が好きなので考古学者になって、発掘作業をしてたと思います。

ダイナミックなストロークが躍るその作風同様に、回答も殴り書きで返ってくるのではないかと、若干心配していましたが、全然そんなことはなかったです。15の質問に対して真面目に真摯に向き合って頂いたことが文面から伝わってきました。もしかしたら、考古学者になっていたかも、とありましたが、木原さんご自身はコツコツタイプなのですね。木原さんの作品は大胆に見えるけれども、繊細さや哲学性も感じられます。その理由が今回の回答で少しわかったような気がしました。
個人的に一番気になったのは、宇宙の限界です。一瞬で忘れてしまったとのこと。もしまた見る機会があったら、今度は忘れず、その光景を絵にして頂けるとありがたいです。(とに〜)

INFORMATION

今回の取材では、木原千春さんが「5分間のドローイング」を実演してくださいました。今までメルカリにて10000枚以上販売し、出品すると即完売してしまう特別な作品を「SIGNS OF A NEW CULTURE Vol.8」にて特別展示します。
残念ながら、こちらの作品は販売いたしませんが、木原千春さんの瞬間的な即興性からくる作品を是非間近でご覧ください。

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■展覧会名
SIGNS OF A NEW CULTURE Vol.8

■会期
2022年9月22日(木)〜10月5日(水)
※最終日は18時閉場

■会場
Artglorieux GALLERY OF TOKYO
東京都中央区銀座六丁目10番1号 GINZA SIX 5F
Google Map

■入場料
無料

詳しくはこちら

ARTIST

木原千春

1979年に山口県に生まれ。独学で絵を描き始めました。1999 年ギャラリー伝にて初個展、数々の個展やグループ展に参加しています。動植物、昆虫や人物の内側に存在する「生命力」を手や足をつかってダイナミックに表現しています。

DOORS

アートテラー・とに~

アートテラー

1983年生まれ。元吉本興業のお笑い芸人。 芸人活動の傍ら趣味で書き続けていたアートブログが人気となり、現在は、独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」として活動。 美術館での公式トークイベントでのガイドや美術講座の講師、アートツアーの企画運営をはじめ、雑誌連載、ラジオやテレビへの出演など、幅広く活動中。 アートブログ https://ameblo.jp/artony/ 《主な著書》 『ようこそ!西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ』(誠文堂新光社) 『こども国宝びっくりずかん』(小学館)

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