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- 放送作家・倉本美津留が“東京近郊”で観たアートと落語の話 / 連載「あの街のアートとカルチャー」Vol.1
INTERVIEW
2023.03.10
放送作家・倉本美津留が“東京近郊”で観たアートと落語の話 / 連載「あの街のアートとカルチャー」Vol.1
Design / Hiroki IIMURA
最近、面白かった展示は? 注目のアーティストは? どんなカルチャーに触れて感動した? さまざまな場所で生活しながら、新しい文化を探す人たちに問いかける連載「あの街のアートとカルチャー」。
今回登場するのは“東京”で生活する放送作家の倉本美津留さん。『M-1』『情熱大陸』など数多くの人気番組を手掛ける一方で、番組『アーホ!』では「笑い」の視点から現代アートを読み解く活動も行っている。エンタメとアートの世界に精通する倉本さんが最近観た、アートとカルチャーって?
Q1
最近、観た展示は?
A1
「タグコレ 現代アートはわからんね」展
現代アートとまったく縁のなかった昭和のビジネスマン、田口弘さんが、いかに現代アートに出会い、引き込まれていったのか? 田口さんのコレクション「タグコレ」の作品を通して追体験できる展覧会
「美術館の作品解説って専門用語が多くて美術のことが詳しくないとわからないということがままあると思うんです。でも、この展示はそうじゃない。アートコレクターの田口弘さんが"なぜこの作品を買ったのか?”“どうやって買ったのか?”とか書いてあって下世話なんですよ(笑)。でも、それが良いなと思いました。(アンディ・)ウォーホールや(ロイ・)リキテンスタイン、(キース・)ヘリングや奈良美智など、名だたる現代アーティストの作品があって、それぞれに買った理由が書いてある。さすがにここで紹介されている作品は買えないけど、田口さんの解説を読んでいると自分が気に入ったアートがあれば自分の家に飾るのも“良いことやな”って思えてくるんです。だから、アートを身近に感じるきっかけになる展示じゃないかな」
アンディ・ウォーホルやロイ・リキテンスタインの作品が並ぶ / ©角川武蔵野ミュージアム
会期:2023年2月4日[土] ─5月7日[日]
会場:角川武蔵野ミュージアム1階 グランドギャラリー
公式HP:https://kadcul.com/tagukore
Q2
最近、注目のアーティストは?
A2
大小島真木
倉本さんが特に印象に残っているのは青山スパイラルで観た《鯨の目》。作家自らが鯨の腐敗した死体とそれに群がる海洋生物を見たことがきっかけに制作した作品で命の循環が描かれる/〈 Eye of whale 〉 @ Maki Ohkojima in Spiral Garden photo by Norihito Iki, Year 2019
「大小島さんは古くからの友達でもあるんですけど、知り合った頃からどんどん凄くなっていっています。作品のテーマがどんどん人間目線じゃなくなっていってる(笑)。まるで地球意思のような視点で、生きとし生けるもの、死して存在するものなど、自然からのメッセージを描いていくんです。視点は菌類まで行ってて、それを細密に迫りながら大胆な規模に展開していく。もう追いつけないくらい凄い。あんた何考えてるねんって(笑)。ご本人は小柄な女性なんですけど、実寸かと思うほどの巨大な鯨を描いたり、作品のスケールがどんどん大きくなっています。まずは何も考えずに彼女の作品を浴びてみたら良いんじゃないでしょうか。とんでもないパワーなんで!」
Q3
最近、お気に入りのスポットは?
A3
〈代官山T-SITE〉
2011年に代官山にオープン。カフェ、書店、ギャラリー、イベントスペースなどの複合施設
「最近、散歩で改めてよく行くのがここ。オープンカフェでコーヒーを飲みながら考えをめぐらせるのがいい感じです。書店のアートのコーナーがめっちゃ充実しているので手軽に刺激を受けられるのもいいし、各フロアに現代アートの展示もさりげなくやっていて新しい作家さんとの出会いのきっかけにもなる。そして代官山にはギャラリーが新しくできたのも含めたくさんあって、だいたい無料で入れるので、ぶらりアート探しにはよい場所です」
住所:東京都渋谷区猿楽町16−15
公式HP:https://store.tsite.jp/daikanyama/
Q4
最近、感動した作品は?
A4
『志の輔らくご in PARCO 2023』
毎年1月にPARCO劇場で開催される志の輔らくご in PARCO。「本当に運良くチケットが取れました。本当に人気でなかなか見れないんですけど、アート好きな人は何とかして観て欲しい!」と倉本さん
「“落語はアートだ”と僕は思うんです。それは、人間一人が座布団に座って話し始めると、観客の脳内にいろいろな風景が広がり始め、知らない間に異次元に連れて行かれる。僕はシュルレアリスムの作品が好きなんですけど、一枚の絵を観た瞬間動けなくなって、一瞬にして違う場所に連れて行かれるような感覚になったりします。そんな経験したことありませんか? それと同じことが落語で起こってる。その究極が立川志の輔さんの話芸です。志の輔らくごは優れたアート作品なんです。パフォーマンスアートの最高峰! アートが好きな人は絶対に感動すると思うので、まずは動画でもなんでも良いから触れて欲しいですね」
公式HP:https://stage.parco.jp/program
<オンデマンド配信期間>
2023年3月17日(金)10:00~3月21日(火祝)23:59
詳細:https://stage.parco.jp/program/shinosuke2023/#Streaming
Q5
桜の季節になると思い浮かべる作品は?
A5
『あ・りがとうーJARUJARU TOWER 2020ー』
お笑いコンビ「ジャルジャル」によるコントシネマ。監督は倉本美津留が担当。2021年1月15日よりNetflixで配信/コントシネマ『あ・りがとう』
「3年前の春、桜が散り始めたくらいの頃にこの作品のロケしてました。だから、この季節になると東京のいろいろな場所を回ったことを思い出します。あ、僕の本業のPRで挙げさせていただきました(笑)。ジャルジャルとはアートユニット「JART」というのもやっていて、笑いとアートの架け橋になることを目指して活動しています。実は名和晃平さんも面白がって協力してくれたりしているんですよ。しばらくやれてなかったけど、最近、またやらないとと考えていたところでした」
Q6
次に観たい展示は?
A6
『レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才』
エゴン・シーレの作品50点が集結する他、同時代のウィーンの作家たちの作品も展示された大型企画
「シーレの絵は一筆一筆に魂を込めながらやってる感じがしますよね。短命で、命を削りながら書き続けたシーレの生々しい絵。これは生で観たいですよね。他にもウィーン分離派(グスタフ・クリムトを中心に結成した芸術家グループ)の作品もたくさん展示されているみたいです。それまでのアートの文脈を断ち切って新しいことを生み出そうとした血気盛んな連中だったはずなので、刺激をもらえるんじゃないかと」
会期:2023年1月26日[木]ー4月9日[日]
会場:東京都美術館
*日時指定予約制
公式HP:https://www.egonschiele2023.jp/
Information
倉本さんが主催するアートサイト『これやん』
Webサイトはこちら
「いんすぴ」これやん展
放送作家・アートプロデューサーの倉本美津留さんとパークホテル東京が共同開催する展⽰企画「いんすぴ」これやん展がパークホテル東京にて3 ⽉19⽇より開催。
会期:2023年3 ⽉19 ⽇(⽇)~5⽉12⽇(⾦)
会場:パークホテル東京Corridor Gallery 34
◎いんすぴ展とは?
「⽇本の芸術・⽂化を世界に伝えるために、⽇本⽂化を体現するコミュニケーション・ツールである“ことば”に注⽬しました。さまざまな意味を持つ⽇本のことばの奥深さを、アート作品として表現するのに加え、ことばから⽣まれたインスピレーションは作者と受け⼿が共有できるのか――? ことばをモチーフにすることで変化する、イメージの共有をテーマとしています」
◎参加アーティスト
安⻄泉/飯⽥⽂⾹/池⽥千鶴/伊藤⾹奈/今津奈鶴⼦/岩坂卓/イワミズアサコ/内⽥有/⼤河原愛/⼤串ゆうじ/⼤塚健/奥村巴菜/刑部真由/OZ-尾頭-⼭⼝佳祐/⾓⽂平/⾦丸悠児/Kamihasami/⻲下渚/岸⽥めぐみ/北奥美帆/⽊村浩之/久保進/くるはらきみ/GOHOUBI/近藤智美/柴⽥貴史/下村勝/⽩井由美/しりあがり寿/新直⼦/スガミカ/瀬崎百絵/曽我篤/⾼橋キンタロー/⽥川秀樹/⽵村東代⼦/⼟⽥圭介/富⽥貴智/友成哲郎/豊⽥英証/中村宏太/中村眞弥⼦/にしざかひろみ/根本寛⼦/林ホノカ/平井豊果/広垣彩⼦/細⼭⽥匡宏/牧野永美⼦/村井陽⼦/⼭下健⼀郎/⼭⽥勇⿂/⼭⽥博之/吉實恵/吉武弘樹/若佐慎⼀
詳細は「これやん」のHPより
DOORS
倉本美津留
放送作家、アートサイト“これやん“主催
1959年生まれ、広島県出身。『ダウンタウンDX』『M-1グランプリ』『情熱大陸』など、数々の人気番組を手掛けている。コメンテーター、MC、ラジオパーソナリティー、 ナレーション、作曲、演奏、他、作家活動にとどまらず多岐にわたって活動展開中。
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