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2025.12.03

日本の現代アートシーンを総覧する展覧会から、国際的なアートブックの祭典まで / 編集部が今月、これに行きたい アート備忘録 2025年12月編

Text & Edit / Daisuke Watanuki
Illustration / NARI (LITTLE FUNNY FACE)

たくさんの展覧会やイベントの中から、絶対に行くべきアートスポットを編集部が厳選! 毎月のおすすめをピックアップしてご紹介します。
今月は、今後の活躍が期待される新進気鋭の若手作家からベテランまで、さまざまなアーティストをユニークなテーマで紹介する「六本木クロッシング」が3年ぶりに開催。毎年大人気の「TOKYO ART BOOK FAIR」も見逃せない。

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先月紹介のイベントもまだまだ楽しめる!

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世界のストリートアートシーンをリードする2組のコラボ展から、東西のアートフェアまで / 編集部が今月、これに行きたい アート備忘録 2025年11月編

  • #連載 #展覧会 #アート備忘録

「六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠」(森美術館・東京)

A.A.Murakami 《ニュー・スプリング》 2017年 展示風景:「Studio Swine x COS, New Spring」ミラノサローネ2017

日本の現代アートシーンを総覧する定点観測的な展覧会となる本展。第8回目となる今回は、「時間」をテーマに、国籍を問わず、日本で活動、もしくは日本にルーツがあり海外で活動するアーティスト全21組を紹介。参加アーティストは、A.A.Murakami、ケリー・アカシ、アメフラシ、荒木悠、ガーダー・アイダ・アイナーソン、ひがれお、廣直高、細井美裕、木原共、金仁淑、北澤潤、桑田卓郎、宮田明日鹿、Multiple Spirits、沖潤子、庄司朝美、シュシ・スライマン、和田礼治郎、マヤ・ワタナベ、キャリー・ヤマオカ、ズガ・コーサクとクリ・エイトと多彩な顔ぶれ。

桑田卓郎《無題》2016年

会期:2025年12月3日(水)〜2026年3月29日(日)
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53F
公式サイトはこちら


「TOKYO ART BOOK FAIR 2025」(東京都現代美術館・東京)

今年で15回目を迎える本フェアは、初の2週末にわたる開催。週末ごとに出展者が入れ替わることで、より多くの交流が可能となる。ひとつの国や地域に焦点を当てて出版文化を紹介する企画「ゲストカントリー」の第9回では、イタリアのインディペンデント出版の歴史を特集。そのほか、世界の難民のポートレートや「大切なもの」を記録したホンマタカシの作品展や、Pace Galleryがこれまでに制作してきた展覧会のインビテーションや図録などの印刷物のアーカイブを紹介する展示など、多彩なプログラムを展開。

©︎ Takashi Homma

会期:2025年12月11日(木)〜12月14日(日)、12月19日(金)〜12月21日(日)
会場:東京都現代美術館 企画展示室B2F、エントランスホール ほか
住所:東京都江東区三好4-1-1
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「Tokyo Contemporary Art Award 2024-2026 受賞記念展『湿地』」(東京都現代美術館・東京)

梅田哲也「wait this is my favorite part 待ってここ好きなとこなんだ」展示風景(ワタリウム美術館、東京、2023) 撮影:天野祐子

5回目の「Tokyo Contemporary Art Award」受賞者、梅田哲也と呉夏枝による受賞記念展。近年「海路」や「水路」といった、水にまつわる考察を作品の重要な要素に取り入れている梅田と呉。仮想の島々をめぐるように個人の歴史や物語をつなぎ、鑑賞者の記憶に働きかけるプロジェクト「grand-mother island project」を中心とした呉の展示空間に、パフォーマンスやツアーなどで物事の構造を可視化する梅田が創出する新たな導線が、表裏の関係のように緩やかに重なり合う。

呉 夏枝《彼女の部屋にとどけられたもの》 2019 撮影:根本 譲 画像提供:水戸芸術館現代美術センター

会期:2025年12月25日(木)〜2026年3月29日(日)
会場:東京都現代美術館
住所:東京都江東区三好4-1-1
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横浜美術館リニューアルオープン記念展「いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの 80年」(横浜美術館・神奈川)

田中功起《可傷的な歴史(ロードムービー)》 2018年 ビデオ・インスタレーション サイズ可変 個人蔵

1965年の日韓国交正常化から60年の節目に合わせ、韓国の国立現代美術館との共同企画により開催する展覧会。本展は、地理的にも文化的にも近しい他者として長い歴史を歩んできた日本と韓国において、正式な国交がなかった空白の時期から新たな世代の台頭まで、戦後の複雑な歴史と文化交流の歩みを時系列で追う5つの章で構成。日韓の同時代美術がどのように相手の国に紹介され、刺激を与えあってきたかを検証することで、両国が未来をともに生きるための示唆が見いだせる。

郭徳俊《フォードと郭》 1974年 ゼラチン・シルバー・プリント 150×104cm 横浜美術館蔵

会期:2025年12月6日(土)〜2026年3月22日(日)
会場:横浜美術館
住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
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「知覚の大霊廟をめざして——三上晴子のインタラクティヴ・インスタレーション」(NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]・東京)

三上晴子《欲望のコード》2010/11年 撮影:木奥恵三

知覚によるインターフェイスを中心としたインタラクティブ作品で知られるアーティスト・三上晴子。没後10年となる本年、1990年代後半以降のインタラクティヴ・インスタレーションを複数展示し、三上の活動をメディア・アート的側面から振り返る展示を開催。通常、規模が大きく複雑な設置工程を要するインタラクティブ作品の再展示機会は限られるが、本展は三上の大型インスタレーション作品3点を同時に展示する、国内外初の貴重な機会。さらに、作品がアップデートを重ねてきた変遷や、現在進行中の修復・アーカイブの取り組みなども紹介する。

三上晴子+市川創太《gravicells—重 力と抵抗》2004/10年 撮影:丸尾隆一 写真提供:山口情報芸術センター [YCAM]

会期:2025年12月13日(土)〜2026年3月8日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー 4F
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「国松希根太 連鎖する息吹」(十和田市現代美術館・青森)

奥⼊瀬のブナを使った制作⾵景 2025年9⽉26⽇ ⼗和⽥市 撮影:⼩⼭⽥邦哉

北海道を拠点とする彫刻家・国松希根太の美術館で初の個展。国松は、北の大地で長い年月を経て独自のフォルムを形成した木々との出会いから作品を制作し、近年はとりわけ地平線や水平線、山脈、洞窟など、風景の中に存在する輪郭(境界)を題材に彫刻や絵画、インスタレーションなどを発表してきた。鉱物や雪など大地の素材に向き合い生まれる作品は、国松と自然との対話、すなわち一期一会のコミュニケーションのたまものと言える。本展では代表的な作品とともに、国松が十和田の自然と出会うことで生まれた新作を披露する。

下北のヒバを使った新作 《7 sculpture sketches》制作⾵景 2025年8⽉15⽇ 北海道・⾶⽣のアトリエ 撮影:国松希根太

会期:2025年12月13日(土)〜2026年5月10日(日)
会場:十和田市現代美術館
住所:青森県十和田市西二番町10-9
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「山本竜基展」(ミヅマアートギャラリー・東京)

《戦争とモフモフ》2025 ©︎YAMAMOTO Ryuki Courtesy of Mizuma Art Gallery 撮影:宮島径

圧倒的な構成と増殖的に描かれる精細な自画像で知られるアーティスト・山本竜基。本展では、近年描いている身の回りの人々や動物を描く作品も展示する。例えば柴犬、猫、アンゴラウサギ……。何を争っているかも誰と戦っているかも分からないまま揺れ動き、日々さまざまなエゴイズムを旗印に苦闘を続けるちっぽけな人間たちとは対照的に、動物たちの存在は揺るぎなく泰然と、大きく描かれている。自画像を描き続けた山本が辿り着いた、おかしみに満ちた曼荼羅のような世界観を垣間見ることができる。

《自画像合戦来迎図》(制作中) 2025 ©︎YAMAMOTO Ryuki Courtesy of Mizuma Art Gallery 撮影:宮島径

会期:2025年12月10日(水)〜2026年1月17日(土)
会場:ミヅマアートギャラリー
住所:東京都新宿区市谷田町3-13 神楽ビル 2F
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