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2026.08.05

戦後日本の抽象造形を牽引した多田美波の大規模個展から、自然と調和する神戸六甲ミーツ・アートまで。 / 編集部が今月、これに行きたい アート備忘録 2026年8月編

Text & Edit / Daisuke Watanuki
Illustration / Asuka Hoshino

たくさんの展覧会やイベントの中から、絶対に行くべきアートスポットを編集部が厳選! 毎月のおすすめをピックアップしてご紹介します。
今月は、戦後日本の抽象造形を牽引した多田美波の大規模個展が開催。六甲山の自然や地誌的な物語に向き合う神戸六甲ミーツ・アートもおでかけにぴったり。

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  • #連載 #展覧会 #アート備忘録

「多田美波―光、凛と ゆれる」(東京都現代美術館・東京)

《Mirage》1989
陶板、ステンレス
多田美波研究所蔵
撮影:多田美波研究所

戦後日本の抽象造形を牽引した多田美波の大規模個展。生涯で彫刻約200点、建築関連作品約500点を手がけ、都市の多様な生活空間を彩ってきた彼女の造形世界を網羅する。本展は多田美波研究所の協力のもと、初期の絵画や各時代の彫刻、作家自身が「光造形」と呼んだ照明作品など約70点に加え、写真やスケッチなどのアーカイブ資料を一挙に展観し、約70年にわたる仕事の全貌を多角的に俯瞰する試み。高度経済成長期の工業素材や加工技術を駆使し、光の反射や屈折を取り込むことで、人間にしか創出できない「第二の自然」を探究した先覚的な実践を紹介する。

光造形《瑞雲》1973
クリスタルガラス、ボールチェーン
リーガロイヤルホテル大阪 ヴィニェット コレクション
撮影:作本邦治

会期:2026年8月29日(土)〜12月6日(日)
会場:東京都現代美術館 企画展示室B2
住所:東京都江東区三好4-1-1
公式サイトはこちら


「没後20年 ナムジュン・パイク|じゅげむ展」(ワタリウム美術館・東京)

《ニュー・キャンドル》1993年 ろうそく、ろうそく立て、カメラ1台、ビデオプロジェクター4台

子どもの長生きを願う落語の前座噺「寿限無」になぞらえ、没後20年の節目にナムジュン・パイクの表現の生命力を見つめ直す展覧会。1963年に西ドイツでモノクロ1チャンネルのテレビを用いた展覧会を開催して以来、ブラウン管から液晶、スマートフォン、AIへと媒体が進化を続けるなかでも色褪せないパイクの先見性を検証する。絵の具やキャンヴァスと同様にすべての媒体を自己表現の手段とした彼の作品は、時代を超越し変化し続ける。会場ではアーティスト、文人、哲学者、予言者といった多角的な視点からその足跡を体系的に構成し、今なお斬新さが際立つパイクの全貌とメディアアートの根源的な到達点を鮮やかに描き出す。

《時は三角形》1993年 ネオン管5本、木製台、アクリル絵具、モニター72台、映像4チャンネル、再生機

会期:2026年7月19日(日)〜11月23日(月・祝)
会場:ワタリウム美術館
住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6
公式サイトはこちら


「竹村 京 うごくせかい」(水戸芸術館 現代美術ギャラリー・茨城)

参考図版 撮影:木暮伸也

揺らぐ世界のなかで「縫う」行為により対象に新たな光を与える竹村京の、過去最大規模となる個展。初期作をはじめ、刺繍による平面作品や壊れた日用品を布で包む立体作品など、個人の記憶や出来事を「仮留め」する一貫した試みを網羅する。本展では2000年代の代表作を起点に、「天災」と「修復」を主題とした新作インスタレーションやワークショップを展開し、記憶と喪失、時間における不可逆性といったテーマへ接近。価値や真偽が反転する不安定な現代において、竹村の作品を通じ、出来事やその記憶との向き合い方を改めて見つめ直す契機とする。

参考図版 撮影:木暮伸也 ※赤色蛍光シルクに含まれる蛍光タンパク質は(国研)理化学研究所及び(株)医学生物学研究所が開発したものです。

会期:2026年7月25日(土)〜10月12日(月・祝)
会場:水戸芸術館 現代美術ギャラリーほか
住所:茨城県水戸市五軒町1-6-8
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落合陽一 「天孫帰るってよ?」(鹿児島県霧島アートの森・鹿児島)

《象徴と変転-ヌルエ(鵺)》2025年

メディアアーティスト・研究者の落合陽一の個展。2015年の「計算機自然|デジタルネイチャー」に始まり、飛騨高山・日下部民藝館での個展で提唱した哲学概念「ヌルのテトラレンマ」や、大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「null²」の成功を経て、神話と地質学、物質とデジタルなど多様な二項対立を超える展示を展開する。火山活動の場であり縄文の記憶を残す鹿児島県霧島アートの森で表現するのは、重層的な世界観。10年に及ぶ活動を通じて過去・現在・未来を結び、人間とテクノロジー、自然と人工物の新たな関係を模索する。

《ヌベルニ庵》2024年

会期:2026年7月11日(土)〜9月23日(水・祝)
会場:鹿児島県霧島アートの森
住所:鹿児島県姶良郡湧水町木場6340-220
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「束芋画 国宝」(ポーラ ミュージアム アネックス・東京)

束芋 「国宝 #002」 和紙に墨と顔彩 2016-2026 Photo by Keizo Kioku

現代美術家・束芋の展覧会では、2017〜2018年の朝日新聞連載小説、吉田修一『国宝』のために制作された挿絵全500点を前後期に分けて展示する。連載当時はデータ上で合成していた色彩部分を、本展に際し和紙に描き留めた墨の線画の上へ改めて着彩。約10年前のイメージを手がかりに、当時の感覚を現在の身体で呼び起こしながら色を重ねる行為を通じ、時間を超えて作品と対話する新たな造形を提示する。新聞という日々更新されるメディアの中で生み出された作品群から、過去と現在、文学と美術、個人の記憶と身体感覚が交差する独自の世界観をダイナミックに展開する。

束芋 「国宝 #499~500」 和紙に墨と顔彩 2016-2026 Photo by Keizo Kioku

会期:2026年7月17日(金)〜8月30日(日)
会場:ポーラ ミュージアム アネックス
住所:東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル 3F
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「心の声をきく わたしを生きる術(すべ)」(東京都渋谷公園通りギャラリー・東京)

「心の声をきく わたしを生きる術(すべ)」展示風景 写真:稲口俊太

自分をケアする方法として「心の声をきくこと」に焦点を当て、アール・ブリュットと現代美術の作品からその手がかりを探る本展。自然との関わりや自らの心地良さをもとに、日常のなかから表現を紡ぐ作家として、稲田萌子、植本一子、志村信裕、吉田雅美の4名を紹介する。表現への根源的な欲求や衝動を素直に受け入れる作家たちの姿勢は、私たちに内省の意味を問いかける。何かを表現し、そこから受け取るという循環が、個々にとって自分と向き合う時間を創出するはずだ。

植本一子《ここは安心安全な場所》より 2025年

会期:2026年6月27日(土)〜8月30日(日)
会場:東京都渋谷公園通りギャラリー
住所:東京都渋谷区神南1-19-8 渋谷区立勤労福祉会館 1F
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「神戸六甲ミーツ・アート2026 beyond」(ROKKO森の音ミュージアムほか・兵庫)

草間彌生《南瓜》2014年 ©YAYOI KUSAMA 特別寄託作品 画像転載不可

2010年の開始以来、山と人とアートをつなぐ独自の対話を試みてきた現代美術の芸術祭。今回は約60組のアーティストが参加し、六甲山の自然や地誌的な物語に向き合ったインスタレーションや彫刻を展開する。建築家・三分一博志設計の「自然体感展望台 六甲枝垂れ」が4年ぶりに会場として復活するほか、秋の土日祝日には夜間限定の光のアートが植物園などを彩る「ひかりの森〜夜の芸術散歩〜」も実施。環境そのものをメディアとして捉え直し、場所の記憶と創造性を重ね合わせる試みを通じて、都市の喧騒から離れた地での深い思索の契機を提示する。

奈良美智《Peace Head》Artwork:©Yoshitomo Nara 画像転載不可

会期:2026年8月29日(土)〜11月29日(日)
会場:ROKKO森の音ミュージアム、六甲高山植物園、自然体感展望台 六甲枝垂れ、風の教会エリア ほか六甲山上各所
住所:兵庫県神戸市灘区六甲山町
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