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2022.12.02
連載「作家のアイデンティティ」Vol.10 / graffiti artist HYKRX 編
独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」として活動する、とに〜さんが、作家のアイデンティティに15問の質問で迫るシリーズ。今回は、謎に包まれたグラフィティアーティストHYKRX(ヒャクラク)さん。暖かくも自由な作品を生み出すHYKRXさんの背景に迫ります。
連載「作家のアイデンティティ」Vol.9 / アーティスト サガキケイタ 編 はこちら!
今回の作家:HYKRX
1990 年バンドフライヤーデザインからスタート、現在はミューラルからキャンバスまでをステンシルを駆使して描く。
《privacy》
91.0×91.0cm(30S) / aerosol/stencil on wood panel
HYKRXさんに質問です。(とに〜)
今回アンケートにご回答いただくのはHYKRXさん。この企画始まって以来初となるグラフィティーアーティスト。この企画始まって以来初となる素顔を公にされていない謎多きアーティストです。
と、それだけに、アーティスト活動だけでなく、プライベートまでも深掘りする15の質問に答えて頂けるのは、とても貴重な機会であるように思います。そういう意味ではこの記事が、遠い未来、HYKRXさんを研究する学芸員や学者にとって一級資料になるかも。
HYSSK(=普段よりも真剣に質問を考えました)。
Q.01 作家を目指したきっかけは?
10代の頃にレコードジャケットの写真に写っていた電車にGRAFFITIが描かれているのを見て描き始めました。
そのまま描き続けて、少しずつ作家の方に近づいていった感じです。

Q.02 アトリエの一番のこだわり or 自慢の制作道具など
座るより立って制作することが多いので、自分に合わせた作業台も大工さんに作ってもらいました。
言われてみれば、グラフィティーアートは座って制作しているイメージはないですね。(とに〜)

Q.03 作品を制作する上で、もっとも苦労することは何ですか?
簡単と思われているので質問に入ってると思いますが、一本の線でも一万本の線でも簡単でも複雑でも良いものは良いです。
疲れることはありますが、苦労と感じることはありません。

Q.04 作品に登場する子どもたちのモデルはいますか?
描き始めた頃はイメージがあったのですが最近は作品に沿ったイメージで制作しています。
Q.05 HYKRXさんが思うグラフィティーアートの面白さって何ですか?
技法や技術を問わず、表現した形が成す所。

Q.06 海外のグラフィティーアーティストたちと自分自身で、一番違うと感じる部分は何ですか?
昔は繊細な作品と大胆な作品で日本と海外で別れていた気がしますが今は違いはないと感じています。
Q.07 もし、どこにでもグラフィティーアートを描いてもいいよ、と言われたら、描いてみたい場所はありますか?
国会議事堂

Q.08 職業病だなぁと思うことは?
本を読んだり、会話すると頭の中で一枚の絵にしようとする事。
Q.09 作品のイメージとご自身にギャップはあると言われますか?
展示会場で会う人にはギャップがあると言われます。
私自身、露出が殆ど無いので、HYKRXが日本人なのか、または老若男女の判断もつかず作品だけのイメージのまま会うのでギャップを感じるのかも。
Q.10 最近日常で感じた小さな幸せを教えてください。
家の前が猫の通り道になっていました。
自分も猫好きなので、それは羨ましいです。(とに〜)
Q.11 今だから話せる失敗談を教えてください。
野外のライブペインティングで段取りの甘さ、準備不足で、当日、ステンシルの型紙と媒体の相性が良くなく、しっかり表現できず周りにいるお客さんに顔を向けれず、その場で作家を辞めるか本気で考えました。
Q.12 青春時代、一番影響を受けたものは何ですか?
映画、音楽(ジャンル問わず)
Q.13 好きな言葉は何ですか?
何事も挑み続けなければ、気持ちの良い陽は差さない。

Q.14 好きなお笑いは?(芸人に限らず、ギャグ漫画でもコメディ映画でも可)
ビートたけし、志村けん
よく見れば、着用されている服もたけしさんですね!(とに〜)

Q.15 もしも作家になってなかったら、今何になっていたと思いますか?
サラリーマン

グラフィティーアーティストということで、アンケート用紙に殴り書きされるかと思っていましたが(←偏見)。丁寧に記述頂きありがとうございます。字面からも作風同様に、優しい人柄が伝わってきました。そんなHYKRXさんが国会議事堂にどんなグラフィティーアートを描くのか気になります。もし、この記事を読んでる政治家さんがいらっしゃれば、是非実現に動いてくださいませ!あと、アトリエ内に飾られている『ウゴウゴルーガ』のテレビくんのフィギュアが個人的に気になりました。懐かしい!
何はともあれ、HYKRKです(本当に良かった、ライブペインティングを機にリタイヤしなくて。これからも頑張ってください!)。(とに〜)
infomation
SIGNS OF A NEW CULTURE vol.10
■会期
2023年1月11日(水)〜1月17日(火)
※最終日は20時閉場
■会場
大丸札幌店1階 イベントスペース
〒060-0005 北海道札幌市中央区北5条西4丁目7
■入場料
無料
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DOORS

アートテラー・とに~
アートテラー
1983年生まれ。元吉本興業のお笑い芸人。 芸人活動の傍ら趣味で書き続けていたアートブログが人気となり、現在は、独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」として活動。 美術館での公式トークイベントでのガイドや美術講座の講師、アートツアーの企画運営をはじめ、雑誌連載、ラジオやテレビへの出演など、幅広く活動中。 アートブログ https://ameblo.jp/artony/ 《主な著書》 『ようこそ!西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ』(誠文堂新光社) 『こども国宝びっくりずかん』(小学館)
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