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2026.03.04

W.ユージン・スミスの写真展から、空山基による過去最大の回顧展まで。 / 編集部が今月、これに行きたい アート備忘録 2026年3月編

Text & Edit / Daisuke Watanuki
Illustration / NARI (LITTLE FUNNY FACE)

たくさんの展覧会やイベントの中から、絶対に行くべきアートスポットを編集部が厳選! 毎月のおすすめをピックアップしてご紹介します。
今月は、フォト・エッセイの第一人者、W.ユージン・スミスの写真展が開催。上海で大きな話題を呼んだ、空山基による過去最大の回顧展も見逃せない。

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先月紹介のイベントもまだまだ楽しめる!

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90年代英国美術の革新を辿るテート美術館展から、映像の現在地を問う恵比寿映像祭まで。 / 編集部が今月、これに行きたい アート備忘録 2026年2月編

  • #連載 #展覧会 #アート備忘録

「W.ユージン・スミスとニューヨーク ロフトの時代」(東京都写真美術館・東京)

W.ユージン・スミス 〈私の窓から時々見ると…〉より 1957-59年頃 東京都写真美術館蔵 ©2026 The Heirs of W. Eugene Smith

複数の写真と短い解説文を組み合わせて物語を紡ぐ「フォト・エッセイ」の第一人者として知られるW.ユージン・スミス。第2次世界大戦で沖縄やサイパンなどの戦場を捉えた報道写真の巨匠は、1954年にNYの通称「ロフト」へと拠点を移す。そこはジャズ・ミュージシャンや抽象表現主義の画家たちなど、多彩な芸術家が集う伝説的な交流の場となり、スミスは従来のジャーナリズムを超えた写真の芸術的可能性を追求した。本展はこの「ロフトの時代」を中心に代表作〈水俣〉まで、報道と芸術の融合を試みたスミスの真の姿を再考する。

W.ユージン・スミス 〈私の窓から時々見ると…〉より 1957-59年頃 東京都写真美術館蔵 ©2026 The Heirs of W. Eugene Smith

会期:2026年3月17日(火)〜6月7日(日)
会場:東京都写真美術館
住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
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「SORAYAMA 光・透明・反射 ーTOKYOー」(CREATIVE MUSEUM TOKYO・東京) 

空山基
Untitled
2023 アクリル絵具、デジタルプリント、キャンバス H197×W139.4×D4cm
©Hajime Sorayama. Courtesy of NANZUKA

人体と機械の美を追求し、国内外で伝説的な存在となったアーティストの空山基。自身の過去最大規模の回顧展が開催される。1978年にウィスキーの広告のために最初に描いたロボット作品や、恐竜、ユニコーンなど幅広くロボット造形を追求した最新のキャンバス作品、デザインを手がけたAIBO(アイボ)の原画や、エアロスミスのアルバムジャケットなど代表作品が一堂に集結。さらに最新の彫刻作品、新作の映像インスタレーションを通じ、空山基が半世紀にわたり追い求めてきた、光・透明・反射という表現の核を圧倒的なスケールで体感できる。

空山基
Untitled
2025 アクリル絵具、デジタルプリント、キャンバス H280×W197×D4 cm(二連画)
©Hajime Sorayama. Courtesy of NANZUKA

会期:2026年3月14日(土)〜5月31日(日)
会場:CREATIVE MUSEUM TOKYO
住所:東京都中央区京橋1丁目7−1 TODA BUILDING 6階
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「飯川雄大 大事なことは何かを見つけたとき」(水戸芸術館現代美術ギャラリー・茨城)

飯川雄大《デコレータークラブ−配置・調整・周遊》2020年、「ヨコハマトリエンナーレ 2020」(PLOT48)での展示風景、Photo: Takehiro Iikawa, courtesy of the artist

時間の相対性や知覚のゆらぎに着目し、認識の不確かさを問い直すアーティスト、飯川雄大。巨大なピンクの猫が出現する〈デコレータークラブ〉シリーズに象徴されるように、飯川は日常の風景に潜む違和感や、見過ごされがちな存在に光をあて、空間の特性を活かした作品を展開している。本展では過去の実践を包括的に紹介するとともに、鑑賞者を巻き込む新作インスタレーションを制作。情報の曖昧さや感覚の不完全さを「遊び」のような能動的体験へと転換し、他者へ出来事を伝える(不)可能性を考察する意欲的な試みとなる。

飯川雄大《デコレータークラブ−ピンクの猫の小林さん》2022年、彫刻の森美術館(神奈川県)での展示風景、Photo: Takafumi Sakanaka, courtesy of the artist

会期:2026年2月28日(土)〜5月6日(水・振休)
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー
住所:茨城県水戸市五軒町1-6-8
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中西夏之 「緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置」(国立国際美術館・大阪)

《紫・むらさき XVIII》1983年 国立国際美術館蔵 ©NATSUYUKI NAKANISHI

独自の思索を通じて絵画を空間や身体とのつながりにおいて実践した、戦後日本を代表する画家のひとり、中西夏之。今回、没後10年にして初の回顧展が開催される。中西の手がける絵画は、何かある対象を描いたものでは必ずしもなく、その意味で、具象にも抽象にも分類不可能。「絵」はいかにして画面上に現れるのか。そもそも、絵画の存在する「場所」はどこなのか。絵画が空間や鑑賞者とどのように関係するかを生涯にわたって追求した彼の、1950年代の後半より始まる制作の軌跡をたどる貴重な機会となる。

《韻 YS》1959年 個人蔵 ©NATSUYUKI NAKANISHI

会期:2026年3月14日(土)〜6月14日(日)
会場:国立国際美術館
住所:大阪府大阪市北区中之島4-2-55
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キュンチョメ 「100万年の子守唄」(旧福井盛弘堂ほか・滋賀)

キュンチョメ《Ghost in the Ocean》2025年 映像

琵琶湖西岸の風情ある港町・大溝地区の3つの民家を舞台に、ホンマエリとナブチの2人によるアートユニット・キュンチョメの展覧会を開催。キュンチョメは、社会問題や自然災害、自然の本質と対峙する映像表現で国内外から高い評価を得てきた。本展では、琵琶湖の悠久の時間を「100万年の子守唄」と捉え、新作を含む映像や立体、写真を3軒の民家に展開。本企画は、滋賀県立美術館の新プロジェクト「ASK(Art Spot in Kohoku)」の第一弾であり、湖北の地でアートを通じた新たな問い(ask)を投げかける試みとなる。

キュンチョメ《あなたの傷が癒えますように》2025年 写真

会期:2026年2月21日(土)〜4月19日(日)
会場:旧福井盛弘堂ほか
住所:滋賀県高島市勝野1340
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やんツー 「浮遊する器官」(BUG・東京)

《永続的な一過性》
2025
Photo by CHOI YEON KEUN, Courtesy of Nam June Paik Art Center

やんツーは、AIやセグウェイ等のテクノロジーを援用し、進歩主義や資本主義への批判的視座を提示し、技術変革に伴う人間の身体性や主体性の変容を鋭く捉え直す美術作家。本展では、BUGの圧倒的な天井高を活かし、AIを搭載したドローンと、それを撃墜しようとするカタパルト(投石器)が言葉を交わし、その対話の内容に呼応して動作する演劇形式の新作を発表する。テクノロジーの在り方が、人間の感覚や倫理にいかなる変容をもたらしているのか。そしてテクノロジーを取り巻く現代の理不尽にどう向き合うかを深く問いかける。

《鑑賞から逃れる》
2019
Photo by Shinya Kigure

会期:2026年2月25日(水)〜4月5日(日)
会場: BUG
住所:東京都千代田区丸の内1-9-2 グラントウキョウ サウスタワー 1F
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「ART FAIR TOKYO 20」(東京国際フォーラム・東京)

© Tatsuo Miyajima. Courtesy of Akio Nagasawa Gallery.

日本の多様なアートシーンを世界に向けて発信する、国内最大規模のアートフェア「ART FAIR TOKYO」。20回目を迎える今回は、国内外から141軒のギャラリーが集結し、古美術から現代美術、工芸まで多様なジャンルを網羅。メインビジュアルには宮島達男の作品が起用され、戦後美術の重要作家やライアン・ガンダーらの最新作が各セクションで紹介される。また、新設の映像セクション「FILMS」も拡張され、市場基盤をより強化。特定ジャンルに偏らない「多様性」を提示し、日本のフロンティアを凝縮した場となる。

《Forest Weave (Twilight Weave A)》 内間安瑆 1981 年 木版 イメージサイズ:59.5×52.7cm シートサイズ:71.0×60.0cm A.P. サインあり ときの忘れもの ©Watanuki Ltd. | TOKI-NO-WASUREMONO

会期:2026年3月13日(金)〜3月15日(日)
会場: 東京国際フォーラム
住所:東京都千代田区丸の内3-5-1
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