因幡都頼

Torai Inaba

1988年北海道生まれ
2012年 武蔵野美術大学 日本画学科卒業
2023年 武蔵野美術大学 日本画学科非常勤講師
歴史に残るおとぎ話や伝承は、実際の出来事が時代や文化を通して姿を変えたものであり、そこには、当時の人々が感じていた現実や世界認識が、かたちを変えて息づいている。
不思議な出来事も、悲しい事件も、因幡が目撃し記録したものは、誰かにとっては作り話であり、時に喜劇として受け取られるかもしれない。その揺らぎは、イメージと言葉が交わる表現の中で、現実と幻想の境界を溶かし、解釈の「余白」を生み出している。
因幡は、時代ごとに変わる「リアル」を記録しながらも、それが他者によって自由に読み替えられる余地を作品に組み込ん無ことを意識している。「時間」「視点」「物語」が交わる場所を立ち上げ、見る者の中で、少しずつ意味がずれていくこと。その曖昧さや重なりこそが、彼の作品の根にあるものである。