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2022.12.23

連載「作家のアイデンティティ」Vol.12 / 陶作家 酒井智也 編

Photo / Gyo Terauchi

独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」として活動する、とに〜さんが、作家のアイデンティティに15問の質問で迫るシリーズ。今回は、陶作家の酒井智也さん。二次元のアニメーションから飛び出してきたかのような作品を制作しています。独特の世界感を生み出している酒井さんの背景に迫ります。

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連載「作家のアイデンティティ」Vol.11 / アーティスト DAICHI MIURA(三浦大地) 編 はこちら!

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連載「作家のアイデンティティ」Vol.11 / アーティスト DAICHI MIURA(三浦大地) 編

  • #アートテラーとに〜

今回の作家:酒井智也

自己の記憶、他者の記憶、時代の記憶などをテーマに、いくつかのシリーズを発表してきた。共通するのは、記憶と共にある「想い」を粘土とロクロ技法を通して、抽象的なイメージとして具現化することである。

artist-identity-12_tomoya-sakai12《ReCollection series》  / 素材 陶

artist-identity-12_tomoya-sakai13.JPG
《Connection series》 / 素材 陶

 

tony_pic

酒井智也さんに質問です。(とに〜)

過去の記憶から様々な陶芸作品を作る、今注目の酒井さん。
いつぞやは虎ノ門にある菊池寛実記念智美術館での内覧会でお声がけ頂きましたね。かつて大手自動車部品メーカーで働いていたことを含め、いろいろお話をお聞きしましたっけ。あれから2年近く経ち、そのことをすっかり忘れかけていたのですが、つい先日、多治見市を訪れた際に、とあるビルで酒井さんの作品と遭遇した瞬間に、あの時の記憶が呼び覚まされました。でも、すいません!造形や色についてお話頂いたあたりが、ぼんやりしていまして・・・。この場を借りてなんですが、改めて教えて頂けると助かります。今度こそ記憶に留めます!

 

ReCollection 2022 まみさとも

Q.01 作家を目指したきっかけは?
高校を卒業後自動車部品会社に就職し3年働きました。
その後、美術教員を目指して名古屋芸術大学に入学しました。そのとき専攻した陶芸にはまったのがきっかけです。卒業後、2年ほど教員として働きましたが、退職し、作家として活動を始めました。

 

 

Q.02 陶芸家あるあるを教えてください。
作家が腰痛持ち。
私も腰痛もちで整体に通いながら制作しています。

 

Q.03 陶(土)の素材としての魅力は何ですか?
粘土は、他の素材と違い直接手で触れ形を造形することができます。力を加えると形を記憶する粘土の特徴は、無意識下に置ける身体表現をそのままの形で宿すことができ、より深いところと繋がれる気がします。木、ガラス、金属と全ての素材に触れてきましたが、最終的に粘土を選択しました。

 

撮影 / 酒井智也

 

Q.04 制作工程の中でもっとも楽しいものと、そうでないものはそれぞれ何ですか?
もっとも楽しいのは、ロクロを使って形を成形しているときです。手の中で、瞬間的に形が生まれるのが特に楽しい。繰り返し同じ形を作ることは好きではありません。制作工程ではないですが、一番楽しくないものは事務作業です。

 

 

Q.05 アトリエの一番のこだわり or 自慢の作業道具など
特にアトリエのこだわりはありませんが(笑)、自宅の中にあるので、いつでも制作ができることと、2歳の子どもが覗きにくるのが楽しいです。なくては困る道具として、電動ロクロとカンナがあります。ロクロがないと制作ができないので、相棒みたいな存在です。カンナは粘土を削る刃がついた道具ですが、何個も並べて使っていると手術道具みたいだと思うことも……。

たくさんのカンナを使い分けることであの繊細な形が生まれているのですね!(とに〜)

 

撮影 / 酒井智也

ReCollection 2022 だモパとわ

 

Q.06 さまざまな形の作品がありますが、実はもっとも作るのが難しい形は何ですか?
それぞれ難しさがありますが、輪のようなパーツが上部に付いている形は神経を使います。焼成すると、粘土は一度柔らかくなるので、重心がずれていると傾いてしまいます。作るときに、重心をしっかりと見極める必要があります。

 

 

Q.07  彩色に関して一番こだわっている部分は何ですか?
彩色によって形の印象が大きく変化します。形が具象的になりすぎたときは、特定のイメージに寄らないように「色」で調整します。本質である形が色や装飾によってどのように見え方が変わるかを実験しています。

 

 

Q.08 益子や有田、金沢など、やきものの街は日本各地にありますが、酒井さんが拠点とされる瀬戸の一番の魅力は何ですか?
日本の真ん中にあり、自然があること。また、瀬戸の近くには、美濃、常滑などの産地もあり、多くの仲間が切磋琢磨している環境が、居心地が良く励みになります。

 

Q.09  職業病だなぁと思うことは?
外食するときに、どんな器で出てくるかを見てしまいます。チラっと高台を見たり。

それは職業病ですね(笑)
入っているのが汁物だと高台を見るのは大変そうです。(とに〜)

 

Q.10  憧れの陶芸家はいますか?(物故作家を含む)
出会えたことで、ターニングポイントになった作家さんはたくさんいます。ただ私にとっては、憧れ以上に追いつき、追い越したい目標のような存在でもあります。

 

Q.11  青春時代、一番影響を受けたものは何ですか?
アニメやオンラインゲームからは強い影響があったと思います。アニメやゲームのように世界を変えることはできませんが、自身の周りだけでも作品を使って、新しい世界観を作り上げたいです!

 

Q.12  自分を器に例えると何ですか?
観賞用の花器ですかね。一見使えそうに見せながら、主張が激しく使われることにより自身をアピールしてしまう。私も社会的な枠にある程度はまりつつも、主張をしっかりしていきたい。

 

ReCollection 2022 チモニョめ

 

Q.13  人生で一番ハマったおもちゃは何ですか?
空箱を使った工作が大好きでした。親いわく、空箱を渡せば一人で集中して工作をしていたので、忙しい時は助かったそうです。

 

 

Q.14  ご自身の記憶の中でもっとも、目を皿のようにして驚いた出来事を教えてください。
急にオカルト話になってしまいますが、小さい頃、家で侍を見たり、幽体離脱をしたりしたことです。他にもいろいろ……。今では、脳の錯覚や夢だったと思っています。

そんなにいくつもオカルト体験談をお持ちだとは!回答を読んで、こちらも目を皿のようにして驚きました。(とに〜)

 

Q.15 もしも作家になってなかったら、今何になっていたと思いますか?
やりたい事は、できるだけ挑戦してきたので、なかなか想像できないです。小さい頃の夢は、宮大工と人間国宝でした。何かは作っていると思います。

 

造形の大変さや彩色のこだわりについて、改めて教えて頂きありがとうございました。以前一度伺ったのにも関わらず、ご丁寧に回答頂き光栄です。酒井さんの器の大きさを感じずにはいられませんでした。
パッと見はポップで楽しげな作品ですが、それらが生み出されるのはストイックな制作姿勢があってこそ。腰痛をケアしつつ、これからも新しい世界観を作り上げてくださいませ。
酒井さんが人間国宝になる前までには、酒井さんの作品を我が家に迎えたいと思っています。(とに〜

 

infomation
SIGNS OF A NEW CULTURE vol.10

■会期
2023年1月11日(水)〜1月17日(火)
※最終日は20時閉場
■会場
大丸札幌店1階 イベントスペース
〒060-0005 北海道札幌市中央区北5条西4丁目7
■入場料
無料

詳しくはこちら

infomation
AaP2023

■会期
2023年2月4日(土)~12日(日)
■会場
roid works gallery

ARTIST

酒井智也

陶作家

自己の記憶、他者の記憶、時代の記憶などをテーマに、いくつかのシリーズを発表してきた。共通するのは、記憶と共にある「想い」を粘土とロクロ技法を通して、抽象的なイメージとして具現化することである。

DOORS

アートテラー・とに~

アートテラー

1983年生まれ。元吉本興業のお笑い芸人。 芸人活動の傍ら趣味で書き続けていたアートブログが人気となり、現在は、独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」として活動。 美術館での公式トークイベントでのガイドや美術講座の講師、アートツアーの企画運営をはじめ、雑誌連載、ラジオやテレビへの出演など、幅広く活動中。 アートブログ https://ameblo.jp/artony/ 《主な著書》 『ようこそ!西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ』(誠文堂新光社) 『こども国宝びっくりずかん』(小学館)

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