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2025.07.02
建築家たちによる展覧会から、映画界の巨匠のインスタレーションまで / 編集部が今月、これに行きたい アート備忘録 2025年7月編
Illustration / NARI (LITTLE FUNNY FACE)
たくさんの展覧会やイベントの中から、絶対に行くべきアートスポットを編集部が厳選! 毎月のおすすめをピックアップしてご紹介します。
今月は、藤本壮介、内藤廣ら日本を代表する建築家たちの個展が多数開催。映画界の巨匠ジャン=リュック・ゴダール監督の映像表現の革新性をひも解くインスタレーションも。
先月紹介のイベントもまだまだ楽しめる!
「つくるよろこび 生きるためのDIY」(東京都美術館・東京)

若木くるみ《CANベルスープ》、2024年、空き缶を用いた版画、作家蔵
DIY(Do It Yourself)は、目の前にある課題を自らの工夫で解決していくアプローチ。今回の展覧会は、DIYの手法や考え方に関心を寄せる、5組の現代作家と2組の建築家(若木くるみ、瀬尾夏美、野口健吾、ダンヒル&オブライエン、久村卓、伊藤聡宏設計考作所、スタジオメガネ建築設計事務所)が出展。身の回りのものでつくる作品や、多様な人が関わる場のデザインに加え、震災や経済的な事情により多くのものを失った人々の切実な営みにも焦点を当てる。

ダンヒル&オブライエン《装置: ムーアの木槌 V1》、2024年、作家蔵
会期:2025年7月24日(木)~10月8日(水)
会場:東京都美術館 ギャラリーA・B・C
住所:東京都台東区上野公園8-36
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「藤本壮介の建築:原初・未来・森」(森美術館・東京)

《ラルブル・ブラン(白い樹)》 2019年 フランス、モンペリエ 撮影:イワン・バーン
藤本壮介は、《武蔵野美術大学美術館・図書館》や《サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2013》などのプロジェクトを次々と完成させ、現在は「2025年大阪・関西万博」の会場デザインプロデューサーを務める、いま最も注目される日本の建築家の一人。初の大規模個展となる本展では、模型や設計図面、竣工写真に加え、インスタレーションや空間を体験できる大型模型、プロトタイプ(試作モデル)といった展示も含まれ、現代美術館ならではの構成になっている。

《ハンガリー音楽の家》(外観) 2021年 ブダペスト 撮影:イワン・バーン
会期:2025年7月2日(水)〜11月9日(日)
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53F
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横浜美術館リニューアルオープン記念展「佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)」(横浜美術館・神奈川)

「ピタゴラスイッチ」 「バザールでござーる」 「だんご3兄弟」 「スコーン」 「モルツ」 「ポリンキー」 「I.Q Intelligent Qube」 「0655/2355」……CMをはじめとする広告、教育番組、著書、ゲームなど、さまざまなメディアを通じて発信される斬新かつ親しみやすいコンテンツにより、90年代以降のメディアの世界を牽引してきた佐藤雅彦。本展ではそれらを一堂に紹介しながら、「作り方を作る」という思想に裏打ちされた佐藤の独創的なコミュニケーションデザインの方法論を明らかにする。

計算の庭(桐山孝司との共作)森美術館「六本木クロッシング2007」展示風景
会期:2025年6月28日(土)〜11月3日(月・祝)
会場:横浜美術館
住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
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「野口哲哉 鎧を着て見る夢 –ARMOURED DREAMER–」(彫刻の森美術館・神奈川)

《floating man》2025年 ミクストメディア Photo:⻑橋睦
「鎧と人間」をテーマに文明社会や人間への好奇心を追求する現代美術作家、野口哲哉。一見古びて見える作品は、すべて樹脂やアクリルといった現代的な素材で作られており、「リアリティー」「多様性」など作家のコンセプトが凝縮されている。本展は、新作を含めた立体や平面など約75点を展示。まるで本物と見間違うような肌質の彫刻は、近代日本美術にある芝居的な表情とは違いアイロニカルな印象で、見る人の想像力を刺激してくれる。秋頃には新しい作品も展示される予定。

《GUNMAN》2025年 ミクストメディア Photo:⻑橋睦
会期:2025年7月19日(土)〜2026年1月12日(月・祝)
会場:彫刻の森美術館
住所:神奈川県足柄下郡箱根町二ノ平1121
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「はしもとみお 木彫展 ~いきものたちとの旅~」(群馬県立館林美術館・群馬)

《ケンちゃん》(左)、《ゴッちゃん》(右) 2025年 Photo : Takahide Urata
身近に暮らす動物や、実際に出会い触れ合った動物たち一匹一匹の個性や思い出を表現することで、まるで生きているかのような温もりや息遣いを感じさせる木彫作品を制作する彫刻家・はしもとみお。本展は、はしもとがこれまでにめぐり合ってきた生き物たちが暮らすさまざまな風景で構成される展覧会。どこかやさしい気持ちになれる、はしもとみおの彫刻の世界を、旅するように紹介してくれる。

《タンバリン(丹波竜)》2024年 Photo : Takahide Urata
会期:2025年7月19日(土)〜9月23日(火・祝)
会場:群馬県立館林美術館
住所:群馬県館林市日向町2003
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「建築家・内藤廣 赤鬼と青鬼の場外乱闘 in 渋谷」(渋谷ストリームホール・東京)

渋谷駅渋谷駅周辺計画/東京都 20XX年(模型) ©️内藤廣建築設計事務所
日本を代表する建築家であり、渋谷駅周辺の再開発において、2006年から建築デザインや景観を調整する「デザイン会議」の座長などを務める内藤廣。本展は、手がけた全45のプロジェクトを紹介。それを内藤自身の頭の中に宿る、情熱的で自己主張の強い「赤鬼」と、控えめで禁欲的な「青鬼」が、リング下の場外乱闘さながらに解説する異色の展覧会になっている。渋谷駅周辺の再開発の全体像を俯瞰できる大型模型や撮り下ろしの映像作品、銀座線渋谷駅やグラントワの巨大な1/20模型なども展示される。

牧野富太郎記念館/高知県 1999年(模型)©️内藤廣建築設計事務所
会期:2025年7月25日(金)〜8月27日(水)
会場:渋谷ストリームホール
住所:東京都渋谷区渋谷3-21-3
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「ジャン=リュック・ゴダール《感情、表徴、情念 ゴダールの『イメージの本』について》展」(王城ビル・東京)

ドイツ・ベルリンでの開催(2022)
ジャン=リュック・ゴダール監督最後の長編作品『イメージの本』を、映像インスタレーションとして再構成した展覧会。映画は、1世紀以上にわたる歴史、戦争、宗教、芸術などの変遷を、さまざまな映画の引用でコラージュし振り返る5章立ての作品だが、本展では映画の各章をさらに断片化し、引用される映像の順序も常に変化する。それらを会場内に多数設置されたスクリーンに投影・展示することで、映画上映の時系列的な束縛を打ち破り、視覚的、空間的にゴダールの世界を体感できる仕掛けになっている。

ドイツ・ベルリンでの開催(2022)
会期:2025年7月4日(金)〜8月31日(日)
会場:王城ビル
住所:東京都新宿区歌舞伎町1-13-2
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「RyosukeUehara : Lwrighte ライト」(OFS gallery・東京)

キービジュアル
クリエイティブユニットKIGIの植原亮輔による個展。light=光、write=書く、rite=儀式、wright=手で作る人、right=正解という言葉が隠された造語「Lwrighte=ライト」をテーマに、2019年から撮り始めた写真作品「LIFEBLOOD」の新作や、コロナ禍に制作を始めた大型絵画作品等を発表する。この機に出版する写真集『LIFEBLOOD』や、本展のために制作したオリジナルグッズも販売される。OFS.TOKYOの10周年記念として開催される本展は、植原にとって2009年の亀倉雄策賞受賞記念展以来の個展であり、プライベートワークを中心に発表する初の機会となる。

大型絵画を制作する植原
会期:2025年7月11日(金)~ 8月11日(月)
会場:OFS gallery
住所:東京都世田谷区池尻3-7-3 OFS.TOKYO
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