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2023.04.14
画家 奥村彰一 編 / 連載「作家のアイデンティティ」Vol.15
独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」として活動する、とに〜さんが、作家のアイデンティティに15問の質問で迫るシリーズ。今回は、特徴的な色彩や構図で多元的な世界観を描く画家、奥村彰一さんの背景に迫ります。
画家 樋口新 / 連載「作家のアイデンティティ」Vol.14 編 はこちら!
今回の作家:奥村彰一
多摩美術大学日本画専攻に在学中の21歳の時に、自身が生まれた土地へ留学し中国画の技法を学びます。帰国後の作品では、日本画の中に中国画の特徴である墨により描線を取り入れていきます。描きなおしに向かない墨や岩絵具という素材を用いながらも、作品の中でリズミカルに無重力の中を漂うかのような姿で描かれる人物や、生命力に満ちた色彩で溢れている多彩な花や植物などが特徴的な作品で、国内・海外で高い人気を得ています。
《Holiday Patrol(ホリデーパトロール)》 145.5×97.0㎝ / 絹本岩彩
奥村彰一さんに質問です。(とに〜)
一般的に抽象画はよくわからない、と思われていますが。具象画であれば、よくわかるかといえば、そうも一概には言えません。奥村彰一さんの描く絵画がまさにそれ。描かれているモチーフ一つ一つは、具体的に何なのかはわかるものの、それらは何かを象徴しているのか?組み合わせに意味はあるのか?そもそもこれは日本画なのか?中国画なのか?ゴーガンやナビ派の画家を彷彿とさせるものがあるので、西洋の要素も入り混じっている気もします。奥村さん、あなたは一体どこから来たのか?あなたは何者か?あなたはどこへ行くのか?
そんなミステリアスな奥村さんの正体を探るべく、15の質問で迫ります。
Q.01 作家を目指したきっかけは?
やりたいことをやってるうちに。
Q.02 中国画の魅力は何ですか?
中国文化は非西洋圏の文化として、芸術全般に対する考え方が大きく異なるところが面白いです。ただ、中国画で考えると、これは日本画と同様に近代以降に生まれた概念で、ある種のクレオール的な文化の混淆が面白いと考えています。
Q.03 モチーフが独特ですが、モチーフはどのように選んでいますか?
雑誌やネットでも、日常的に触れる情報の中から気になったものを発展させていくような形で。
Q.04 人物を描くときのこだわりがあれば教えてください。
なるべく個を廃する形で表現しています。どこの誰でもあり、誰でもないような。
Q.05 色合いが独特ですが、どのような画材を使っていますか?
日本画の岩絵具を使用しています。基本的に混色することなく、単色のコントラストで画面を構成しています。
Q.06 構図が独特ですが、どのように決めていますか?
人物の動きを起点に、展開を決めています。
Q.07 アトリエの一番のこだわり or 自慢の作業道具など
熱帯のようなアトリエ。
Q.08 アトリエにたくさんの緑がありますね。なにゆえ、こんなことになったのですか?
ブルータスの珍奇植物特集を見て以来、沼にハマり続けています。
Q.09 職業病だなぁと思うことは?
常にモチーフを探してしまいます。
Q.10 リフレッシュをするために通う場所はありますか?
駅前のスタバ。アーモンドミルクラテが好きです。
Q.11 楽園や理想郷に「これは絶対あってほしい!」というものは何ですか?
桃が欲しいです。
Q.12 青春時代、一番影響を受けたものは何ですか?
ジャズやファンクなどのブラックミュージック。
大学生時代、ジャズ研に所属してピアノを弾いていたという奥村さん
Q.13 好きな 80~90 年代のアニメ・漫画は何ですか?(もし、アニメや漫画で該当するものがなければ、ドラマや音楽でも)
アニメ:攻殻機動隊、AKIRA
音楽:Joni Michell, Erykah Badu, 細野晴臣
Q.14 美術史に名を残す画家の中で、もし今生きて会えるとしたら親友になれそうなのは誰ですか?
どなたも強烈でしょうから親友になれるかどうかわかりませんが、中国だと任伯年、日本だと田中一村、あとグラント・ウッドが実際に制作していた現場には立ち会ってみたいです。
Q.15 もしも作家になってなかったら、今何になっていたと思いますか?
ジャズピアニストか、プラントハンター。
ご回答ありがとうございました。質問に答えて頂くたびに、さらにその回答に対する新たな疑問のタネが生まれ、奥村さんはきっとこういう方なのだろうと想像すればするほど、頭の中でそのタネが育っていきました。おかげで僕の頭の中も、奥村さんのアトリエ同様に緑でいっぱいです。
常にモチーフを探し続けているという奥村さんが新たに見つけたモチーフは何なのか。新作を楽しみにしております。
あと、この場を借りてなんですが、自分も『攻殻機動隊』や『AKIRA』は好きなので、一度お酒を飲みに行きましょう。その前に、スタバのアーモンドミルクラテでしょうかね。
information
今後の展示スケジュール一覧
SIGNS OF A NEW CULTURE vol.13
■会期
2023年4月27日(木)〜5月10日(水)
※最終日は18時閉場
■会場
Artglorieux GALLERY OF TOKYO
東京都中央区銀座六丁目10番1号 GINZA SIX 5F
■入場
無料
グループ展
gallery UG Tennoz
■会期
2023年4月21日(金)〜5月13日(土)
個展
大阪高島屋美術画廊
■会期
2023年10月11日(水)〜10月23日(月)
ARTIST
奥村彰一
画家
1989年北京生まれ。東京育ち。 多摩美術大学日本画専攻に在学中の21歳の時に、自身が生まれた土地へ留学し中国画の技法を学びます。帰国後の作品では、日本画の中に中国画の特徴である墨により描線を取り入れていきます。描きなおしに向かない墨や岩絵具という素材を用いながらも、作品の中でリズミカルに無重力の中を漂うかのような姿で描かれる人物や、生命力に満ちた色彩で溢れている多彩な花や植物などが特徴的な作品で、国内・海外で高い人気を得ています。
DOORS
アートテラー・とに~
アートテラー
1983年生まれ。元吉本興業のお笑い芸人。 芸人活動の傍ら趣味で書き続けていたアートブログが人気となり、現在は、独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」として活動。 美術館での公式トークイベントでのガイドや美術講座の講師、アートツアーの企画運営をはじめ、雑誌連載、ラジオやテレビへの出演など、幅広く活動中。 アートブログ https://ameblo.jp/artony/ 《主な著書》 『ようこそ!西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ』(誠文堂新光社) 『こども国宝びっくりずかん』(小学館)
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