• ARTICLES
  • 地元で信楽焼を体験!「日常を忘れて没頭できた」〈Ogama〉作陶レポート / 堀田真由がときめく! 工芸からみつける、生活に寄りそうアート【後編】

INTERVIEW

2025.02.12

地元で信楽焼を体験!「日常を忘れて没頭できた」〈Ogama〉作陶レポート / 堀田真由がときめく! 工芸からみつける、生活に寄りそうアート【後編】

Interview&Text / Miki Osanai
Photo / Takuya Ikawa
Edit / Quishin
Hair&Makeup / Tomoe Nakayama
Stylist / Arata Kobayashi(UM)

「うつわや花瓶など、お気に入りのものを使うと気分が明るくなりますが、その『制作工程』を知るともっと愛着が湧いてきます」とお話をしてくれたのは、俳優の堀田真由さん。食卓を彩る工芸品が好きな堀田さんは、伝統工芸の制作過程にも関心を寄せ、「歴史や工程など細部についてもっと学んでいきたい」と意欲を見せます。

そんな堀田さんが2024年の年末に訪れたのが、滋賀県の信楽町。地元の伝統工芸で、日本六古窯のひとつでもある信楽焼を知りたいと、飾らない信楽を体験できる施設「Ogama」に足を運び、陶芸教室で作陶をしました。

大小問わず自由な発想で作陶できる陶土で、堀田さんが手がけたものとは? アートや工芸品を「使う」「飾る」だけでなく、「自分で手を動かしてつくってみるからこそ得られるもの」についても、お話ししてくれました。

INTERVIEW

前編はこちら

前編はこちら

INTERVIEW

雛人形にも進化した信楽焼の“多様な可能性” / 堀田真由がときめく! 工芸からみつける、生活に寄りそうアート【前編】

  • #堀田真由 #工芸

まずはショップを歩いて作陶をイメージ「一目惚れした丸皿をつくりたい!」

今回、堀田さんが訪れた「Ogama」は、400年以上もの歴史を持つ「明山窯」が運営する、信楽焼の体験施設です。

大きな登り窯や、明山窯の職人が手がける工芸品が並ぶショップ、信楽焼で空間が彩られたゲストハウス、そして陶芸教室があり、信楽の歴史を感じながら産地ならではの幅広い体験ができる場所。

ショップ兼ギャラリーの外観

明山窯の石野伸也さんと、Ogamaのうつわや雑貨を見て歩きながら、「どんな陶器をつくろう?」とイメージを膨らませていった堀田さん。

「これ!」と目に止まったのは、ショップの棚に置かれていた丸いプレートでした。

「ゲストハウスのキッチンにも同じものがあって気になっていました。ひっくり返して台皿のようにも使えそうだなって。こういった形ってつくれますか……?」

堀田さんからの質問に、「手びねりとタタラの組み合わせでつくれますよ」と笑顔で答えた石野さん。

Ogamaの陶芸教室では、3つのコースがあり、そのうちのひとつが「手びねり・タタラ」。手びねりはろくろを手動で回しながら成形する技法で、タタラはタタラ板と呼ばれる陶土(陶芸用の粘土)を型に押し当てて成形する技法のこと。

堀田さんは今回、前半は手びねりで茶碗、後半は手びねりとタタラの合いの子でリバーシブル丸台皿に挑戦することに。

さて、どんな作品に仕上がるのでしょうか?

 

まずは手びねりからチャレンジ! 「難しいけど癒される」

大本命のリバーシブル丸台皿は“組み合わせ技”ということもあり、まずは信楽の陶土(陶芸用の粘土)に慣れるべく、手びねりでの茶碗づくりからチャレンジ。

まずはブロックになった陶土を手に取る堀田さん。「ひんやりしていて気持ちい!」

ピンポン玉程度の大きさにちぎって丸め、ロクロの上に押し当て土台をつくります。石野さん曰く「建物の基礎のような部分でとても大事」なんだそう

土台ができたら陶土で、茶碗の胴(側面)となる“ひも”をつくっていきます。「太さを均一にして伸ばすのが難しい……!」

土台に筆で水をつける堀田さん。ひもと土台は水をつけて接着していくのだとか

ひもを積み上げ、高さを出していきます。指とヘラを使って、つなぎ目を馴染ませていく堀田さんの表情は真剣そのもの!

ひもを積み上げて高さが出たら、いよいよ成形。「指の動きは一定に」という石野さんのアドバイスを元にろくろを回しながら広げていきます

「薄くならないようにするのが思っていたよりも難しい」と語る一方で、「でもこの作業は癒されますね」

無事、お茶碗の形になり、笑顔の堀田さん

乾燥させたあとは、仕上げの高台づくり。搔きベラをつかって、茶碗の底の部分を輪の形に掘ったら、完成!

 

タタラとの合わせ技で希望叶って笑顔「ちょっとズレても味があっていい」

手びねりで茶碗ができたら、次はいよいよ応用編。手びねりとタタラを組み合わせたリバーシブル台皿にチャレンジ。

まずはOgamaが用意するタタラ用の陶土を手に取って、表面を滑らかにしていく作業から。

薄くスライスされた陶土の表面を、スクレイパーをつかって滑らかに。こうしてできる粘土を「タタラ板」と呼びます

タタラの工程では、薄く伸ばした陶土を作りたい形・大きさに切断。台皿の底の部分をつくるため、型に沿って丸く切断していく堀田さん

「きれいにくり抜けました!」

ここから手びねりの工程を応用。ひもをつくり、丸底の外側に沿って皿の側面をつくっていきます(左は石野さん)

茶碗のときと同様に、つなぎ目を指で馴染ませていく堀田さん。「この形……、タルトやパイ生地をつくっているような気分です(笑)」

乾燥させたら再び搔きベラを手に、形を調整。台の部分を出っ張らせたいと、こだわりを見せます

ひっくり返して、台の縁を少し整えたら、完成! 「ちょっと芯がズレちゃったけど、それも味があっていいですね」

つくりたい形にできて、達成感のある笑顔を見せた堀田さん。

手びねりとタタラで信楽焼を作陶してみて、「自分が想像している以上に難しかったけれど、ふたつ目のお皿はひとつ目を応用してつくることができて、楽しかったです。すごく集中して取り組むことができて、日常を忘れて没頭できました」と、充実感を滲ませました。

 

「体験することで、つくり手の愛情を受け取ることができる」

Ogamaでは、明山窯オリジナルの4種類の釉薬(アイボリー・淡ガラス・火色ビードロ・黒鉄)を選ぶことができ、堀田さんは茶碗に淡ガラス、丸台皿に黒鉄の色をセレクト。

写真右上が釉薬の見本。左からアイボリー・淡ガラス・火色ビードロ・黒鉄

届いたものを使うのが楽しみと語る堀田さんに、伝統工芸品を暮らしに取り入れることのよさについて伺うと、「私の場合は食卓が明るくなる気がしています」と笑顔。

「伝統工芸ってとても工程が多く、環境にも左右されやすいそうなんです。(主演を務めた津軽漆を題材にした映画)『バカ塗りの娘』に出演する際に、七々子塗という技法を職人さんから習い、そのお箸を購入して今も使っているのですが、自分が習ったからこそ、購入したものがどれだけの工程を経てできているものなのか、手の温もりや環境によって左右されるものであることもわかります。そうやって細部を知ることによって職人さんの愛情を受け取ることができて、愛着が湧いてきます」

Ogamaでも、明山窯の職人からノウハウを教えてもらいながら陶芸体験ができるようになっており「またぜひ訪れたいです」と堀田さん。

地元滋賀で陶芸体験をしたことで、「プライベートでももっとやってみたい」と、やきものの世界への関心も一層深まったようでした。

 

堀田真由作の信楽焼が完成!

左から《リバーシブル丸台皿》、《茶碗》

Information

〈Ogama〉

RE_20241226_007

住所:〒529−1851 滋賀県甲賀市信楽町長野947
施設の利用時間:
10:00〜16:30(入室は16:00まで) 
休廊日:水曜日、木曜日、年末年始

詳細はこちら

カーディガン:35,200円(税込)
ブランド名:cash & barba(キャッシュアンドバルバ)
問い合わせ先: 株式会社エグジステンス
その他/スタイリスト私物

DOORS

堀田真由

俳優/モデル

1998年4月2日生まれ、滋賀県出身。2015年にWOWOW『テミスの求刑』で俳優デビュー。その後、2017年のNHK連続テレビ小説『わろてんか』で注目を集め、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、NHK『大奥』、TBS日曜劇場『アンチヒーロー』など話題作に多数出演。2024年には日本テレビ『若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私―』で主演を務め、現在1月期TBS日曜劇場『御上先生』に出演中。ファッション雑誌『non-no』の専属モデルとしても活躍している。

新着記事 New articles

more

アートを楽しむ視点を増やす。
記事・イベント情報をお届け!

友だち追加