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2025.09.03
国立新美術館で開催する2つの展示から、各地のアートイベント・芸術祭まで / 編集部が今月、これに行きたい アート備忘録 2025年9月編
Illustration / NARI (LITTLE FUNNY FACE)
たくさんの展覧会やイベントの中から、絶対に行くべきアートスポットを編集部が厳選! 毎月のおすすめをピックアップしてご紹介します。
今月は、国立新美術館で平成のアートシーンを振り返る展示と、ブルガリの展示がスタート。ほかにも各地でアートを存分に堪能できるイベントや芸術祭が続々開催されます。
先月紹介のイベントもまだまだ楽しめる!
「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010」(国立新美術館・東京)

小沢剛 《ベジタブル・ウェポン-さんまのつみれ鍋/東京》 2001年 Cプリント 113.0×156.0cm 国立国際美術館蔵 © Tsuyoshi Ozawa
平成が始まった1989年から2010年までの間に、日本でどのような美術が生まれ、日本からどのような表現が発信されたのか。本展は、国内外の50を超えるアーティストの実践を検証するもの。アジア地域におけるパートナー美術館、香港のM+との協働キュレーションにより、変化に富んだ時代を見つめなおす。参加作家は、会田誠、マシュー・バーニー、蔡國強、小沢剛、ダムタイプ、ピエール・ユイグ、石内都、ジョアン・ジョナス、笠原恵実子、川俣正、風間サチコ、小泉明郎、イ・ブル、宮島達男、森村泰昌、村上隆、奈良美智、大竹伸朗など。

森村泰昌 《肖像(双子)》 1989年 Cプリント、透明メディウム 210×300cm 所蔵:森美術館、東京 展示撮影:武藤滋生 © MORIMURA Yasumasa
会期:2025年9月3日(水)〜12月8日(月)
会場:国立新美術館
住所:東京都港区六本木7-22-2
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「ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧」(国立新美術館・東京)

《コンバーチブル・ソートワール=ブレスレット》 ゴールド、アメシスト、ターコイズ、シトリン、ルビー、エメラルド、ダイヤモンド 1969年頃 ブルガリ・ヘリテージ・コレクション
ハイジュエリーの最高峰、ブルガリ。本展は、在日イタリア大使館の後援のもとに開催され、日本におけるブルガリの展覧会としては10年ぶり、過去最大のスケールでの開催。ブルガリ・ヘリテージ・コレクションのクリエーション、現代アート、ブルガリ・ヒストリカル・アーカイブからの貴重な資料、そして没入型のインスタレーションが織りなす、万華鏡のような展覧会となっている。ブルガリの色彩の世界に命を吹き込む映像やインタラクティブな空間、芸術的な対話を通して、メゾンの卓越した技量を堪能できる。

《「ビブ」ネックレス》 ゴールド、プラチナ、エメラルド、アメシスト、ターコイズ、ダイヤモンド 1968年 リン・レブソン旧蔵 ブルガリ・ヘリテージ・コレクション
会期:2025年9月17日(水)〜12月15日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室2E
住所:東京都港区六本木7-22-2
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「移転開館5周年記念 ルーシー・リー展―東西をつなぐ優美のうつわ―」(国立工芸館・石川)

ルーシー・リー 《ブロンズ釉花器》 1980年頃 井内コレクション(国立工芸館寄託) 撮影:品野 塁
20世紀を代表する陶芸家、ルーシー・リー。20世紀初頭のヨーロッパで展開した建築やデザイン、科学といった先鋭的な思潮を取り入れた作品の数々は、没後30年を経ても色褪せることなく、ますます評価を高めている。10年ぶりの大回顧展となる本展では、初期ウィーン時代からロンドンでの円熟期に至る作品約120点が集結。シンプルかつ緊張感のある作品のフォルム、象嵌や掻落に見られる独自の施文方法、そしてぬくもりのある色鮮やかな青やピンクの釉薬技法は必見。

ルーシー・リー《鉢》1926年頃 個人蔵 撮影:野村知也
会期:2025年9月9日(火)〜11月24日(月・振休)
会場:国立工芸館
住所:石川県金沢市出羽町3-2
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「Tokyo Gendai」(パシフィコ横浜・神奈川)

Larry Poons, Untitled (024J-4), 2024. © the Artist. Courtesy of the Artist and Almine Rech. Photo Dan Bradica
ヨーロッパ、アフリカ、北米、アジア、日本と、国内外から厳選されたギャラリーが一堂に会することで、世界水準の多種多様な現代アート作品を数多く堪能できるアートフェア。今年で3回目を迎える本フェアは、日本の女性アーティストによる伝統工芸技術に焦点を当てた特別展示をはじめ、新進アーティストを支援する「Hana Artist Award」や、創造的な対話を促進するキュレーターシンポジウムといった多彩なプログラムを通じ、国内外の優れたアート作品を新たな視点で探求する機会を提供する。

A Kassen, Bronze Pour, 2025, Bronze, Multiple dimensions, Courtesy of A Kassen and Each Modern
会期:2025年9月12日(金)〜9月14日(日)
会場:パシフィコ横浜 展示ホール C/D
住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1
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「TENNOZ ART WEEK 2025」(寺田倉庫G3-6Fほか・東京)

アートシティ天王洲に国際水準のアートコンテンツを誘致し、日本と海外のアートシーンをつなぎ、国際文化観光の活性化を目指すイベント。3回目の開催となる今回は、ナイル・ケティングによる倉庫空間に着想を得たパフォーマティヴ・インスタレーション、諏訪敦の約3年ぶりとなる大規模個展、複数ギャラリーによるグループ展、伝統画材を使ったワークショップなど、多彩なプログラムを寺田倉庫の全6施設で展開する。ジャンルや世代を超えた作品を通じて、現代アートの「いま」を広く紹介する機会となる。

会期:2025年9月11日(木)〜9月15日(月・祝)
会場:寺田倉庫G3-6Fほか
住所:東京都品川区東品川2-6-10
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「六本木アートナイト2025」(六本木ヒルズほか・東京)

キム・アヨン《デリバリー・ダンサーズ・アーク:0°レシーバー》
今回で14回目を迎える「六本木アートナイト」は、大都市東京における街づくりの先駆的なモデル創出を目的にした、東京を代表するアートの祭典。特定の国・地域に焦点を当て、そこで活躍するアーティストによる作品を披露するプログラム「RAN Focus」では、韓国をフォーカス。「マシン・ラブ:ビデオゲーム、AIと現代アート」展でも注目を集めた映像作家キム・アヨン 、「ベアバルーン」を用いて都市を舞台に親しみやすい作品を展開するアーティスト、イム・ジビンをはじめとした、気鋭の韓国人アーティストら6組による多彩なプログラムが六本木の街を彩る。

イム・ジビン 《EVERYWHERE》 2.5x2.5x4m 風船
会期:2025年9月26日(金)〜9月28日(日)
会場:六本木ヒルズ、森美術館、東京ミッドタウン、サントリー美術館、21_21 DESIGN SIGHT、国立新美術館、六本木商店街、その他六本木地区の協力施設や公共スペース
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「髙田安規子・政子 Perspectives この世界の捉え方」(資生堂ギャラリー・東京)

《Spectrum》 2024年 ヴィンテージ生地、ベッド、ベッドカバー サイズ可変
身近な素材を用い、空間や時間の「スケール(尺度)」をテーマに制作する髙田安規子・政子は、一卵性双子のユニットで活動するアーティスト。今回の展示の中心は、本を積み重ねて地層に見立てた新作《Strata》。地層は「歴史書のようなもの」という例えから着想を得て、小展示室の床から踊り場の床下までつながる本棚に、約500冊の本と鉱石や化石を配置。生物の誕生から人新世までの時と知の連なりを表現した。新作とこれまでの作品を再構成したものを中心に、約20点を展示する。

《Relation of The Parts to The Whole》 2022年 鏡、金具 サイズ可変
会期:2025年8月26日(木)〜12月7日(日)
会場:資生堂ギャラリー
住所: 東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル B1F
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国際芸術祭「あいち2025」(愛知芸術文化センターほか・愛知)

©五十嵐大介
当初の「あいちトリエンナーレ」から数えて今回で6回目の開催となる「あいち2025」では、世界22の国と地域から60組を超えるアーティストおよびグループが参加。国内からは26組が名を連ねる。現代美術では、54組が新作を含む作品を展示し、パフォーミングアーツでは愛知芸術文化センターを中心に、先鋭的な演劇、ダンスなどの9演目を上演予定。今回の芸術祭のテーマは「灰と薔薇のあいまに」。芸術監督を昨年英国の現代美術誌『ArtReview』の「Power 100」(2024年)で1位に選出されたフール・アル・カシミが務める。

愛・地球博記念公園での展示風景(国際芸術祭「あいち2025」) ワンゲシ・ムトゥ《コベ(リクガメ)》2022 ©︎ 国際芸術祭「あいち」組織委員会 撮影:怡土鉄夫
会期:2025年9月13日(土)〜11月30日(日)
会場:愛知芸術文化センター、 愛知県陶磁美術館、瀬戸市のまちなか
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