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2025.10.01
山城知佳子・志賀理江子の展示から、領域横断型のアートフェスティバルまで / 編集部が今月、これに行きたい アート備忘録 2025年10月編
Illustration / NARI (LITTLE FUNNY FACE)
たくさんの展覧会やイベントの中から、絶対に行くべきアートスポットを編集部が厳選! 毎月のおすすめをピックアップしてご紹介します。
今月は、ビデオアーティスト・山城知佳子と写真家・志賀理江子による展覧会がスタート。ほかにもアートと多様なカルチャーが交差する、領域横断型のアートフェスティバルが開催。
先月紹介のイベントもまだまだ楽しめる!
「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山城知佳子×志賀理江子 漂着」(アーティゾン美術館・東京)

山城知佳子《Recalling(s)》2025年 © Chikako Yamashiro. Courtesy of the artist
「ジャム・セッション」は、石橋財団コレクションと現代のアーティストとの共演により、美術の新たな可能性を探るシリーズ。第6回目となる今回は、ビデオアーティストの山城知佳子と、写真家の志賀理江子を迎える。沖縄と東北という異なる土地に根ざし、歴史や記憶に向き合ってきた二人。山城と志賀の表現は、記憶や歴史に身体的に向き合う実践であり、見る者の認識を揺さぶり、既存の物語や視点を問い直す。新作とコレクション作品との出会いを通じて、複雑で困難な現実に対するまなざしと、芸術の力を再考する場を創出する。

志賀理江子《褜がらみで生まれた》2025 年 ©Lieko Shiga. Courtesy of the artist
会期:2025年10月11日(土)〜2026年1月12日(月・祝)
会場:アーティゾン美術館
住所:東京都中央区京橋1-7-2
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スクリプカリウ落合安奈インタビューはこちら
「総合開館30周年記念 遠い窓へ 日本の新進作家 vol. 22」(東京都写真美術館・東京)

スクリプカリウ落合安奈《ひ か り の う つ わ》2025年 作家蔵 ©Ana Scripcariu-Ochiai
将来性のある作家を発掘し、新たな創造活動を紹介する「日本の新進作家」展。第22回となる本展では、人と時代の流れ、場所、風習といった物事との結びつきから生まれる小さな物語に焦点を当てた5名の新進作家(寺田健人、スクリプカリウ落合安奈、甫木元空、岡ともみ、呉夏枝)の作品を展示する。タイトルにもある「窓」は、私たちをまるで遠く離れた世界へと導いてくれる、装置のような存在。窓から垣間見える暮らしを想像するように、作品もまた、私たちの知らない風景や物語へと思いをめぐらせるきっかけを与えてくれる。

寺田健人《After playing in the park with my daughter》〈想像上の妻と娘にケーキを買って帰る〉より 2021年 作家蔵 ©Kento Terada /Courtesy of Yumiko Chiba Associates
荒木悠インタビューはこちら
「キュレトリアル・スタディズ16: 荒木悠 Reorienting ―100年前に海を渡った作家たちと―」(京都国立近代美術館・京都)

悠、3才(成田空港国際線出発ロビーにて、1988年9月19日) 撮影:宇野博二
幼少期に渡米し、異なる文化の中で育ったアーティスト・映画監督の荒木悠は、絵を通して異なる言語を話す友人たちとコミュニケーションを取り、大人になってから美術作家として活動をスタート。現在に至るまで、国境を越える視点から、文化の衝突や歴史に潜む物語をユーモアと批評性をもって表現してきた。本展はそんな荒木悠をゲストアーティストに迎え、荒木の新・旧作品と、約100年前に米国で活躍した日系移民作家、国吉康雄、石垣栄太郎、野田英夫の作品を並置。戦争や不況、分断といった、時代を超えて共通するテーマを探求する。

荒木悠《Stray Dogs》 制作:1947-1952年/発表:2017年- 作家蔵 (「クロニクル、クロニクル!」展示風景、クリエイティブセンター大阪、2017年) Image courtesy of the artist and MUJIN-TO Production / 画像提供:無人島プロダクション
会期:2025年10月7日(火)〜12月7日(日)
会場:京都国立近代美術館 4階コレクション・ギャラリー
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町26-1
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「新時代のヴィーナス!アール・デコ100年展」(大阪中之島美術館・大阪)

ユップ・ヴィールツ 《ヴォーグ、今年の冬の香水はこれだ》 1925年 サントリーポスターコレクション(大阪中之島美術館寄託)
大阪・関西万博開催の2025年からちょうど100年前、フランス・パリでは、芸術史上極めて重要な「現代装飾美術・産業美術国際博覧会」、通称アール・デコ博が開催されていた。本展は、この歴史的な博覧会100周年を記念した、「アール・デコと女性」をテーマにした展覧会。女性が描かれたフランスを中心とするヨーロッパのグラフィックデザイン作品とともに、女性と関わりの深いジュエリー、香水瓶、ドレス、車など、100年前のこの時代を象徴する数々の貴重な作品や資料を展示する。

ルネ・ラリック 香水瓶《ヴェール・ル・ジュール(夜明け前に)》ウォルト社 1926年 箱根ラリック美術館
会期:2025年10月4日(土)〜2026年1月4日(日)
会場:大阪中之島美術館 5階展示室
住所:大阪府大阪市北区中之島4-3-1
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SIDE COREインタビューはこちら
「SIDE CORE Living road, Living space / 生きている道、生きるための場所」(金沢21世紀美術館・石川)

SIDE CORE《new land》2024 © SIDE CORE
SIDE COREは、公共空間や路上を舞台としたアートプロジェクトを展開するアーティスト・コレクティブ。本展は「道路」や「移動」という視点から、「異なる場所をつなぐ表現」をテーマとした展覧会。作品展示に加え、展覧会ゾーンに期間限定で開設される無料のスペースなどを通して、美術館という空間に「別の道」を開く試みを行う。ストリートカルチャーの表現を通して、制度に依らない生きる術を日常のなかに編み出し、それをグローバルなコミュニティで共有していく表現運動にフォーカスを当てる。さらに、ゲストアーティストを招聘予定。

photo : HAMADA Shin
会期:2025年10月18日(土)〜2026年3月15日(日)
会場:金沢21世紀美術館
住所:石川県金沢市広坂1-2-1
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「MEET YOUR ART FESTIVAL 2025」(寺田倉庫G3-6Fほか・東京)

「MEET YOUR ART FESTIVAL」は、アートを軸に、音楽・ファッション・ライフスタイルなどの隣接するカルチャーを一堂に会する、領域横断型のアートフェスティバル。本年は「再発見(Rediscovery)」を掲げ、日本の中に息づく感性や記憶、無意識のうちに継承されてきた価値観をさまざまな視点から捉え直す。フェスティバル全体で150名以上の気鋭アーティストが参加、アートフェア「MEET YOUR ARTISTS」では、国内外で活躍するアーティスト約90名による500点以上の作品展示・販売を実施する。

Photo by Keizo Kioku
会期:2025年10月10日(金)〜10月13日(月・祝)
会場:寺田倉庫G3-6Fほか、天王洲運河一帯
住所:東京都品川区東品川2-6-10ほか
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東京の地場に発する国際芸術祭「東京ビエンナーレ 2025」(東叡⼭寛永寺ほか・東京)

「SOCIAL DIVE」アダム・ロイガード《FOR THE PUBLIC I-III》2024年
「東京ビエンナーレ」は、東京のまちに国内外から多様なアーティストやクリエイターが集結し、まちに深く入り込み、地域の方々と一緒に作り上げていく2年に1度の国際芸術祭。3回目の今回は「いっしょに散歩しませんか?」をテーマに、まちを歩く芸術祭としての魅力を探究する。東叡⼭寛永寺、エトワール海渡リビング館の2つの拠点展⽰のほか、6つのエリア(上野・御徒町/ 神⽥・秋葉原・⽔道橋/ ⽇本橋・⾺喰町/ ⼋重洲・京橋/ ⼤⼿町・丸の内・有楽町)に39組のアーティストが作品を展開する。

黒川岳《石を聴く》 2022年 photo 鈴木陽介
会期:2025年10月17日(金)〜12月14日(日)
会場:東叡⼭寛永寺、エトワール海渡リビング館ほか
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