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2026.09.02

「路上」の公共性を問う展覧会から、初開催の前橋国際芸術祭まで / 編集部が今月、これに行きたい アート備忘録 2026年9月編

Text & Edit / Daisuke Watanuki
Illustration / Asuka Hoshino

たくさんの展覧会やイベントの中から、絶対に行くべきアートスポットを編集部が厳選! 毎月のおすすめをピックアップしてご紹介します。
今月は、赤瀬川原平らの活動とともに「路上」の歴史と公共性を問う展覧会が松濤美術館で開催。前橋の街なかへ展覧会を拡張する「第1回 前橋国際芸術祭2026」や、麻布台ヒルズに立ち現れる坂本龍一+高谷史郎による没入空間など、秋のおでかけにぴったりな注目イベントが目白押しです。

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先月紹介のイベントもまだまだ楽しめる!

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戦後日本の抽象造形を牽引した多田美波の大規模個展から、自然と調和する神戸六甲ミーツ・アートまで。 / 編集部が今月、これに行きたい アート備忘録 2026年8月編

  • #連載 #展覧会 #アート備忘録

「路上、お邪魔ですか?」(渋谷区立松濤美術館・東京)

銭湯山車巡行部 《銭湯山車》
2021年 個人蔵
Photo: Katsu Okubo

制度の及ばない歴史的空間「公界」の系譜を交え、現代の「路上」が抱える自由と排除の二面性を検証する展覧会。路上は所有や統治が曖昧な解放の場である一方、公序が強調されることで他者を排除する息苦しさも孕む。2020年の路上生活者殺害事件が突きつけた公共性の課題に対峙しつつ、本展は「自由」と「邪魔」が同居する場から立ち上がった批評的文化実践に着目。赤瀬川原平らの「路上観察学会」創設40周年に際し「路上は誰のものか」を問い直し、過去の実践から現代都市への批評的アプローチをたどりながら、路上芸術がもつ独自の公共性を客観的に提示する試みである。

お面をかぶっておどける新城さん。沖縄出身。右翼の街宣車だろうか。君が代が流れると頭をかかえてうずくまった。1996年8月 ©迫川尚子

会期:2026年9月19日(土)〜11月23日(月・祝)
会場:渋谷区立松濤美術館
住所:東京都渋谷区松濤2-14-14
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「瀧本幹也 LUNATION 朔望—海から天体を読む」(茅ヶ崎市美術館・神奈川)

瀧本幹也 《GRAIN OF LIGHT #12》 2014年 C-type print 92.3×74.2cm © Mikiya TAKIMOTO / Courtesy of MT Gallery

11歳で望遠鏡にカメラを装着し天体写真を撮影した体験を原点に、宇宙と自己の連続性を育んできた写真家・瀧本幹也の、国内美術館で初となる大規模個展。16歳で写真の世界に入った瀧本は、商業撮影の第一線で活躍する傍ら、「惑星としての地球」や可視・不可視の領域を探求してきた。これまで壮大なスケールで作品を発表してきたが、近年はコロナ禍を機に身近な草花や寺院を捉えた作品に取り組み、ミクロな視点へと移行。本展では海辺に位置する茅ヶ崎市美術館の特性を活かし、新月と満月がもたらす「朔望」を軸に、海の表情、天体の運動、水面の微光から人類の生命へと思いを馳せる新作『LUNATION 朔望』を展開する。

瀧本幹也 《SPACE #06》 2011年 C-type print 88×69.2cm © Mikiya TAKIMOTO / Courtesy of MT Gallery

会期:2026年9月2日(水)〜11月8日(日)
会場:茅ヶ崎市美術館
住所:神奈川県茅ヶ崎市東海岸北1-4-45
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牛嶋均 さわひらき 「ともにある風景」(金沢21世紀美術館・石川)

牛嶋均 新作のためのスケッチ 2026 提供:金沢21世紀美術館

本展は、金沢21世紀美術館がこれまで能登との対話を重ね、令和6年能登半島地震以降も継続して行うアート復興支援の一環として開催される展覧会。牛嶋は地震による地滑りで被災した屋外彫刻《松雲海風艀雲》を移動・再構成し、作品が新たな関わりの中で変容する可能性を探る。一方、さわは珠洲でのリサーチに基づく映像インスタレーションを通じ、人と土地の結びつきを考察する。両作家はそれぞれ異なるアプローチで場所と人、記憶と風景、過去と未来を結び直し、災害とともに生きる私たちが他者や世界との関係を取り戻すための普遍的な問いを投げかける。

さわひらき《くろとしろ》のためのイメージ写真 2026 提供:金沢21世紀美術館

会期:2026年9月8日(火)〜2027年4月18日(日)
会場:金沢21世紀美術館
住所:石川県金沢市広坂1-2-1
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「RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI AMBIENT KYOTO - TOKYO」(麻布台ヒルズ ギャラリー・東京)

坂本龍一 + 高谷史郎 | async - immersion 2023|Photo:Satoshi Nagare

京都を拠点に「アンビエント」をテーマにした音、アート、空間で構成される展覧会〈AMBIENT KYOTO〉を、東京にて初開催する。本展では〈AMBIENT KYOTO 2023〉で発表された坂本龍一+高谷史郎(ダムタイプ)による作品「async - immersion」を展開。横幅26.4mの巨大スクリーンを用いた単体展示によって、音楽、映像、音響、空間、そして来場者が一体となる特別な没入空間を創出する。音響ディレクターには坂本龍一の晩年作を手がけたZAKを迎え、麻布台ヒルズギャラリーの空間に合わせて音響を再構築している点も見逃せない。

坂本龍一 + 高谷史郎 | async - immersion 2023|Photo:Satoshi Nagare

会期:2026年8月28日(金)〜10月25日(日)
会場:麻布台ヒルズ ギャラリー
住所:東京都港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA MB階
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エットレ・ソットサス 「function→emotion プロダクトは道具か、それとも物語か。」(メトロクス東京・東京)

「Tahiti」

20世紀のイタリアン・デザインを牽引した建築家、エットレ・ソットサスの歩みを辿る企画。「機能」による合理主義に疑問を抱き、感情や遊び心を宿したポストモダン・デザインを切り拓いたソットサスの思考の変遷を、「秩序」「懐疑」「解放」「爆発」という4つの章で紐解く。会場では30年以上にわたり蒐集された貴重なアーカイブコレクションを一堂に展示するほか、オリベッティ社のデスクやコートハンガー、名作タイプライター、当時のオリジナルポスターといった希少なヴィンテージプロダクトを特別販売されるほか、メンフィスをはじめとする現行プロダクトも展開する。

「Carlton」のミニチュアモデル

会期:2026年9月5日(土)〜10月31日(土) 
会場:メトロクス東京
住所:東京都港区新橋6丁目18-2
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「Tokyo Gendai 2026」(パシフィコ横浜・神奈川)

Peter Halley, Magenta-prison (2026) Courtesy of Ceysson & Bénétière

アジアおよび世界各国のトップギャラリーが一堂に会し、現代美術の最前線を提示するアートフェア。主要センター「Galleries」をはじめ、新鋭作家やアジアに焦点を当てた「Hana 'Flower'」、歴史的・近代美術を再評価する「Eda 'Branch'」、テーマ型の独自展示を展開する「Miki 'Trunk'」など、多層的な構成。作品の売買にとどまらず、国内外のコレクター、キュレーター、アーティストが交差する言論と交流のプラットフォームとして機能し、東京および日本のアートシーンが持つ国際的力学と新たな可能性を垣間見られる機会となる。

FAMEME, Fancy Fantasy! (2024) © FAMEME. Courtesy Chi-Wen X MOV Collection

会期:2026年9月11日(金)〜9月13日(日)
会場:横浜国際平和会議場 (パシフィコ横浜) 展示ホールC/D 
住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1 
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「第1回 前橋国際芸術祭 2026|めぶく。Where good things grow.」(アーツ前橋ほか・群馬)

渋谷慶一郎《Abstract Music》、グラフィックデザイン:八木幣二郎

前橋が掲げる都市ビジョン「めぶく。」をテーマに据え、地域が培ってきた文化や都市の記憶、人々の営みと交差し、新たな創造性の芽生えを模索する国際芸術祭が開催される。マルタン・マルジェラ、蜷川実花 with EiM、渋谷慶一郎ら約70組の表現者が集結し、美術館の枠を超えて街なかの建築や公共空間、歴史的遺構へ展覧会を拡張。製糸業で栄えた都市史や水と緑の豊かな自然環境と響き合う作品群を提示する。地域資源との協働を通じて都市の新たな生態系を創出し、都市の記憶や日常の風景の中に新たな価値と対話の萌芽を見出していく。

©山縣良和

会期:2026年9月19日(土)〜12月20日(日)
会場:アーツ前橋、まえばしガレリア、白井屋ホテルほか
公式サイトはこちら

 

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