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- 内藤礼の個展やカルティエが日本に最初のブティックを開いてから50年を記念した展覧会に注目 / 編集部が今月、これに行きたい アート備忘録 2024年6月編
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2024.06.05
内藤礼の個展やカルティエが日本に最初のブティックを開いてから50年を記念した展覧会に注目 / 編集部が今月、これに行きたい アート備忘録 2024年6月編
Illustration / Nao Sakamoto
たくさんの展覧会やイベントの中から、絶対に行くべきアートスポットを編集部が厳選! 毎月のおすすめをピックアップしてご紹介します。
6月は内藤礼の個展と、カルティエと日本の結びつきを感じられる展覧会が、東京国立博物館で開催されます。ポーラ美術館では現代のフランス美術を代表するフィリップ・パレーノの国内最大規模の個展も!
「内藤礼 生まれておいで 生きておいで」(東京国立博物館・東京)
内藤礼《死者のための枕》2023 年 シルクオーガンジー、糸 撮影:髙橋健治
「地上に存在することは、それ自体、祝福であるのか」をテーマに、空気、水、重力といった自然がもたらす事象を通して「地上の生の光景」を見出す空間作品を手掛けてきたアーティスト・内藤礼。本展は東京国立博物館が所蔵する約12万件の収蔵品のなかから、内藤が縄文時代の土製品を選び、東博の建築や歴史を独自の視点で読み解くことで、あらたな空間作品を制作。縄文時代の土製品は自然・命への畏れと祈りから生まれたものであり、作家はそこに「生の内と外を貫く慈悲」を感じたといいます。自然光に照らし出される展示室に、かつて太陽とともにあった生と死、人と動植物、人と自然のあわいに起こる親密な協和が、そっと浮かび上がってきそうです。
「内藤礼:すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している 2022」 2022年、神奈川県立近代美術館 葉山 《母型》 2022[2009]年 水、ガラス瓶 撮影:畠山直哉
「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 — 美と芸術をめぐる対話」(東京国立博物館 表慶館・東京)
ノット ブローチ, 1907 プラチナ、ゴールド、ダイヤモンド、ルビー Marian Gérard, Cartier Collection © Cartier
カルティエが日本に最初のブティックを開いてから50年を記念し、メゾンと日本を結ぶさまざまなストーリーを紹介する本展。カルティエの貴重なアーカイブピースで構成される「カルティエ コレクション」、アーカイブ文書など約200点の展示を通して、カルティエと日本文化の対話を浮き彫りにします。また、カルティエ現代美術財団と日本のアーティストたちとの絶え間ない創造的な対話を、日本のアートシーンを代表するアーティストの作品を通して紹介。参加するのは澁谷翔、松井えり菜、村上隆、横尾忠則、杉本博司、荒木経惟、川内倫子、森山大道、束芋、宮島達男、北野武、中川幸夫、三宅一生といった、同財団とゆかりのある面々です。
横尾忠則 The Portraits of Japanese artists Collection of the Fondation Cartier pour l'art contemporain, Paris © Tadanori Yokoo © André Morin
「ラインズ—意識を流れに合わせる」(金沢21世紀美術館・石川)
エル・アナツイ《パースペクティブス》(部分)2015 © El ANATSUI 金沢21世紀美術館蔵 photo: KIOKU Keizo
芸術家たちが作品制作の基本要素として線をどのように使っているか、線がどのように意味、動き、感情を伝えることができるかについて探究する展覧会。芸術表現において、線はアーティストの動きや意図を捉える動的なジェスチャーであり、異なる空間や概念の間の境界線や交差点を画定するもの。深く考察することで、さまざまな文脈が見えてきます。エル・アナツイ、 ティファニー・チュン、タシタ・ディーン、サム・フォールズ、マダディンキンアーシー・ジュウォンダ・サリー・ガボリ、 マルグリット・ユモー、マーク・マンダース、大巻伸嗣、エンリケ・オリベイラ、オクサナ・パサイコ、 三分一博志、SUPERFLEX、ジュディ・ワトソン、八木夕菜、横山奈美らが参加。
横山奈美《Shape of Your Words [in India 2023/8.1-8.19]》2024 個人蔵 画像提供:ケンジタキギャラリー © Nami Yokoyama photo : ITO Tetuso
「フィリップ・パレーノ:この場所、あの空」展(ポーラ美術館・神奈川)
《私の部屋は金魚鉢》2018年 展示風景:グロピウス・バウ、ベルリン、2018年 Courtesy of the artist; Pilar Corrias, London; Gladstone Gallery, New York and Brussels; Esther Schipper, Berlin/Paris/Seoul Photo © Andrea Rossetti
現代のフランス美術を代表するフィリップ・パレーノは、今日最も注目されるアーティストの一人。映像、音、彫刻、オブジェ、テキストやドローイングなど作品は多岐にわたり、芸術や「作者性」の概念にも疑問を投げかけながら、数多くのアーティスト、建築家、音楽家と共同で作品を生みだしてきました。国内最大規模の個展となるポーラ美術館での展覧会では、1990年代の初期作品から初公開のインスタレーションまで、作家の幅広い実践を多面的に紹介。AI など先進的な科学技術を作品に採り入れながらも、ピアノやランプ、バルーンといった見慣れたオブジェを操り、ダイナミズムと沈黙、ユーモアと批評性が交錯する詩的な状況を生みだすパレーノ。展覧会空間は、まるでシンボルの迷宮!
展示風景:パーク・アヴェニュー・アーモリー、ニューヨーク、2015 年 Courtesy of the artist and Esther Schipper, Berlin/Paris/Seoul Photo © Andrea Rossetti
「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」(京都国立近代美術館・京都)
倉俣史朗《ミス・ブランチ》 1988年 石橋財団アーティゾン美術館蔵 撮影:渞忠之 © Kuramata Design Office
1960年代以降のデザイン界において、世界的に高い評価を受け、現在も影響を与え続けているインテリアデザイナー・倉俣史朗の実績を回顧する展覧会。本展では、プロローグとして独立前の三愛時代の仕事を紹介し、その後年代に沿った4章構成で、倉俣の言葉にもとづくテーマごとに作品を展示。遊び心を感じさせる変型の引出し、板硝子を貼り合わせ最小限の構造を突き詰めた椅子、造花のバラが浮遊するアクリルブロックの椅子など、代表作の数々が登場します。さらにエピローグには、これまであまり公開されてこなかった私信や夢日記、イメージスケッチをまとめて紹介。56歳という若さで突然亡くなった“伝説のデザイナー”の、キャリアの「その先」を想像させます。
倉俣史朗《ハウ・ハイ・ザ・ムーン》 1986年 富山県美術館蔵 撮影:柳原良平 © Kuramata Design Office
「⽇常アップデート」(東京都渋谷公園通りギャラリー・東京)
飯川雄大《デコレータークラブ―新しい観客》2022年「感覚の領域 今、『経験する』ということ」展 国立国際美術館と個展「デコレータークラブ:メイクスペース、ユーズスペース」兵庫県立美術館での連携実施の様子 撮影:飯川雄⼤
コロナ禍以前と同じ毎日を取り戻したかのようにみえた矢先に、新たな災害。このような事象に遭遇するたびに過去は奥深くへと押し込まれ、代わりに新たな体験の記憶がその上に重ねられることに気づかされ、日常の尊さや儚さを感じます。本企画は、見過ごされるような光景や体験、聞き慣れたことば、どこかの誰かとの共同作業、その日の大切な記憶や事柄の記録、安心できるいつもの風景など、さまざまな観点で日常を思わせる作家の作品から繰り返される日々を考える展覧会。出展作家は飯川雄大、関口忠司、土谷紘加、原田郁、宮田篤、ユ・ソラの6名。他者の存在が感じられる作品を通して、日常における人と人、人と社会の在り方について考えてみたくなります。
宮田篤《ペンびぶんフレンドクラブ・いなわしろ》2019年「わくわくなおもわく」展 展示風景 はじまりの美術館 撮影:森田友希
YMOに影響を受けたというQ-TAさんインタビューはこちら
「YUKIHIRO TAKAHASHI COLLECTION Everyday Life」(代官山ヒルサイドフォーラム・東京)
2023年1月11日に長逝した高橋幸宏。そのアーティスト活動の中で、リリースした作品は計100点。まさに日本を代表するアーティストであり、プロとして内外を問わず数え切れないほどのレコーディングやライブで手腕を発揮したドラマーとしても高い評価を集め、またプロデューサーとしても多くの作品を残しました。それらの業績を網羅的に振り返りながら、自身のブランドも持つファッショニスタとしての一面や釣り師の顔など、多角的で魅力的な人物像にも迫る展覧会が、72回目の誕生日である6月6日からスタート。会期中は鈴木慶一、立花ハジメ、小山田圭吾、小原礼、東郷昌和、高橋信之らゆかりのあるゲストのトークライブも。
会期:2024年6月6日(木)〜6月9日(日)
会場:代官山ヒルサイドフォーラム
住所:東京都渋谷区猿楽町18−8
公式サイトはこちら
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